2012-01-01から1年間の記事一覧
●司馬遼太郎『竜馬がゆく(四)』(文春文庫) 文久三年が話の中心になる。尊王攘夷運動の急先鋒であった長州藩が、薩摩、会津両藩のために京都から追放される(八月十八日の政変)。長州藩の企てと連動していた土佐藩士らの天誅組も、五条代官所を襲撃した…
「日本の古本屋」というサイトから、「新潮日本古典集成」全82巻を注文した。送料を含めても一冊当たり450円弱だ。 詳しいことは届いてから書くつもりだが、このシリーズの最大の特徴は、分かりにくい本文のわきに赤色で傍訳をつけている点だろう。『源氏物…
事務員の机上にあったのを見て、買ってみた。私はかつて病院事務員をしていたことがあるけど、仕事はほとんど雑用。レセプトに関しては単純な入力を担当していただけだった。恥ずかしながら、二年間で診療報酬について覚えたことはほとんどない。 職場ではま…
●司馬遼太郎『竜馬がゆく(三)』(文春文庫) 維新の志士の中ではおくての方なのか、これといった活動をしてこなかった竜馬が、ここに来て公私ともに俄かに忙しくなる。 先ず、勝海舟を斬りに行く。剣の師匠筋、千葉重太郎に誘われてのことだが、竜馬は辻斬…
命長くもと思ほすは心憂けれど、弘徽殿などのうけはしげにのたまふと聞きしを、空しく聞きなしたまはましかば人笑われにや、と思しつよりてなむ、やうやうすこしづつさはやいたまひける。(紅葉賀8) これからは長く生きなければとお思いになることが宮にと…
●司馬遼太郎『竜馬がゆく(二)』(文春文庫) 尊王攘夷を、藩体制の枠組みはそのままに推し進めようとする動きに飽き足りない竜馬は、とうとう脱藩する。日本を一つにするには、幕府を倒すだけではなく、藩もまた潰さなくてはならない。藩内のクーデターな…
●司馬遼太郎『竜馬がゆく(一)』(文春文庫) 面白いことは面白い。幕末から維新にかけて、明確なイメージを思い描くことができる。職場で読むには好都合だろう。しかし、長すぎる。新聞小説ということで冗長な部分がでてくるのはやむを得ないが、小説作法…
●保坂正康『歴史でたどる領土問題の真実 中韓露にどこまで言えるのか』(朝日新書) 問題となっている領土は、仮に直接的な軍事行動を伴わなかったとしても、帝国主義的領土拡大政策の中で獲得されたものなのかどうなのか。そこをしっかり見極める必要がある…
看護師レベルでの救急外来の様子がわかる本と、病気や症状について書かれた本が欲しかったので、先日の投資に二冊追加した。来月あたり、病院のしくみと診療報酬の本を買って終わりにしたい。 持ち運びに便利な歴史参考書二冊は、職場で読むつもり。 気が早…
ブックオフで司馬遼太郎の『竜馬がゆく』を買ってみた。産経新聞では司馬の言葉に断片的に触れる機会はいくらでもあるが(今も司馬で日本史を読み解くコーナーがある)、ちゃんと作品を読んだことはない。宿直時のお供にちょうどよければ、ありがたい。繰り…
現在の仕事に対する投資はこれで十分だろう。いや、もともと投資など必要ない仕事なので、趣味と言うべきかもしれないけど。 私の立場で、業務上、医学的・看護学的知識をひけらかすようなことがあってはならない。しかし、仕事は面白くもなんともない。退屈…
●ル・クレジオ『海を見たことがなかった少年 モンドほか子供たちの物語』(豊崎光一・佐藤領時訳、集英社文庫) 子供の心を失ってしまったせいだろうか、「モンド」以外の作品は読みにくくて仕方なかった(すべて同工異曲ではあるけど)。翻訳の言語感覚もあ…
先日、初めて自転車で職場に行ってみた。大きな川を超えて、土手を走るのは爽快だ。そろそろ汗まみれにならずに済みそうな季節になってきた。雪が降るまでは自転車で通おう。 雪が降ったらどうするか。バスの時間は信用できない。往路だけでも徒歩で行けるか…
And even on the Christmas roses the smuts settled persistently, incredible, like black manna from skies of doom. (p.9) そしてクリスマスの薔薇の上にすら、裁きの空から降ってくる黒いマナ(訳注 イスラエル人が荒野を旅行中に神から恵まれた食物)…
新生活の課題は三つ。通勤方法、夜勤明けの睡眠、職場に持っていく本。 三つめの本に関しては、ひょっとして新書がいいんじゃないだろうかと思って、三冊買ってみた。保坂正康『歴史でたどる領土問題の真実』、孫崎亨『日米同盟の正体』、小出裕章『原発はい…
雷のせいだか、モデムにアラームの赤ランプが灯ったので、サービスセンターに電話した。生身の人間の声をひとことも聞くことなく、私のほうも一音節すら発することなく、新モデムが送られる運びとなった。 今ほど、新モデムを接続し、旧モデムの梱包を済ませ…
マーク・トウェイン『トム・ソーヤーの冒険』、モンゴメリ『赤毛のアン』を購入。職場で読むことを考慮して、だんだんと易しいものに流されていきそうだ。しかし、こういうの、実は好きかもしれない。 これからは再読に力を入れた方がいいかもしれない。ある…
古代の祖母君の御なごりにて、歯ぐろめもまだしかりけるを、ひきつくろはせたまへれば、眉のけざやかになりたるもうつくしうきよらなり。心から、などかかううき世を見あつかふらむ、かく心苦しきものをも見てゐたらでと思しつつ、例の、もろともに雛遊びし…
Doch entstand gerade hieraus für die letzte Zeit meiner Ferien ein köstlich freier, schwebender Zustand zwischen Zufriedensein und Mehrverlangen, der mir wie ein großes Glück im Gedächtnis steht. (p.67) しかし、まさしくその点から、休暇の最…
ut primum alatis tetigit magalia plantis, Aenean fundantem arces ac tecta novantem conspicit. (4.259-261) 羽ある足でカルタゴの、むらがる家居に着くや否、 まずこの神〔メルクリウス〕の目にうつる、ものは高城(たかき)を構築し、 新舎をいとなむ…
θάμβησεν δ’ Ἀχιλεύς, μετὰ δ’ ἐτράπετ’, αὐτίκα δ’ ἔγνω Παλλάδ’ Ἀθηναίην· δεινὼ δέ οἱ ὄσσε φάανθεν· (1.199-200) 驚いて振り向いたアキレウスは、凄まじいばかりに輝く女神の両眼を見て、すぐにパラス・アテネをそれと識った。(上p.20) まだまだ残暑は厳…
ジェイムズに苦労してきたお蔭で、ずいぶん素直で易しい英語に見える。最後までこのままの調子で進まんことを。 例によって冒頭部分を書き抜いておく。参照するのは、新潮文庫の伊藤整訳(伊藤礼補訳)。 Ours is essentially a tragic age, so we refuse to…
●Henry James『The Turn of the Screw』(Dover) なかなか難しい英語であった。行方昭夫は、海中深く潜ってその意味するところを探り当て、説明をふんだんに補いながら、平明な日本語に置き換えている。それは語学学習者にとってはとても有難いことなのだけど…
●ジャン・ジュネ『女中たち バルコン』(渡辺守章訳、岩波文庫) 第一に、和書は通勤のバスの中、勤務前の空き時間、夜勤の合間に読む。原則として家では開かない。そういうものとしてこの作品に対するのは、甚だ不適切であったかもしれない。 今後は選択の…
次はセリーヌの『夜の果てへの旅』。冒頭部分を読む限り、それほど難しいフランス語ではないようだが、活きのよい口語的な表現には苦しめられるかもしれない。 中公文庫の生田耕作訳と原文を比べるのも、楽しい作業になりそうだ。最初の段落の最後の文を、一…
●Flaubert『Madame Bovary』(folio classique) 中学のときに翻訳で読んだことがあるけど、不倫を繰り返し自殺する主人公に何ら共感を覚えることはなかった。今ならば、私の生き方もエンマと同断ではないかと反省することもできるが。 最後は薬屋オメーの栄達…
仕事にも慣れてきた。夜勤にも慣れてきた。暑さも峠を越したし、オリンピックも終わったし(見ていたのは主に夜勤の時だが)、夏祭りやお盆にともなう過密スケジュールは終わったし、研修期間も終わったしで、生活のリズムもだいぶ整ってきた。やっと読書や…
●フロベール『ブヴァールとペキュシェ』(鈴木健郎訳、岩波文庫、全3冊) あらゆる知識を究め尽そうとする試みにおいてはファウスト的だが、何をやっても壁にぶち当たって中途半端に終わり、人間の愚かしさを暴露して終わるという点ではドン・キホーテ的。し…
Le prêtre se releva pour prendre le crucifix ; alors elle allongea le cou comme quelqu’un qui a soif, et, collant ses lèvres sur le corps de l’Homme-Dieu, elle y déposa de toute sa force expirante le plus grand baiser d’amour qu’elle eût j…
アナトール・フランス『エピクロスの園』、ユルスナール『とどめの一撃』、コレット『牝猫』、ジャン・ジュネ『女中たち・バルコン』、ル・クレジオ『海を見たことがなかった少年 モンドほか子供たちの物語』、クッツェー『恥辱』。 最近こんな量を一か月で…