本の覚書

本と語学のはなし

2010-06-01から1ヶ月間の記事一覧

購入

★Vladimir Nabokov『The Annotated Lolita』(Penguin Classics) アルフレッド・アッペル・ジュニア編集の『註解ロリータ』。 新潮文庫の若林正訳『ロリータ』の解説で、大江健三郎はこう書いている。「野心的で勤勉な小説家志望の若者に私は、小説勉強にこ…

準備

カードをひとつ解約した。出身大学のカードなので、校友会費が自動的に支払われる。それを除けば、最近は全く使っていなかった。大学図書館の入館証にもなるが、東京近郊に住んでいないので用はない。カードは本来個人用と事業用に分けるべきだから、引き落…

居酒屋

久しぶりに『居酒屋』から。 ... il courut rue de la Goutte-d’Or et monta carrément emprunter dix francs à Lorilleux. (p.114) グート・ドル街へ駆けつけ、思いきってロリユに十フランの借金を頼み込んだ。 (pp.96-97) Monter (昇る)に続く不定詞は目…

購入

★塚田祐子『【2009-2010年度版】図解 フリーランスのための超簡単!青色申告』(クリエイティブ ワークステーション) ★Office Home and Business 2010 アップグレード優待版 『青色申告』は、本そのものよりも無料ダウンロードできる会計ソフトが目的だった…

青春は美わし

Die zwei Mädchen plauderten miteinander wie die Stare, und ich hörte zu und war froh, dabei zu sein und zum Kleeblatt zu gehören. (pp.37-38) ふたりの少女はムクドリのようにおしゃべりし合った。私は耳を傾けながら、道づれになって、ウマゴヤシの…

アエネーイス 第4巻

diffugient comites et nocte tegentur opaca ; speluncam Dido dux et Troianus eandem devenient. adero et, tua si mihi certa voluntas, conubio iungam stabili propriamque dicabo; hic hymenaeus erit. (4.123-127) ...そうすれば、供のものたち逃…

『道元禅師全集11 永平広録2』

●『原文対照現代語訳・道元禅師全集11 永平広録2』(鏡島元隆訳註、春秋社) 『永平広録』全10巻のうち、巻4から巻6を収録する。 幾度も中断を繰り返しながらこつこつ読んできた。気がつけば前回の読了*1から4カ月半も経っている。『永平広録』はまだ2冊残っ…

購入

★フォークナー『アブサロム、アブサロム!(下)』(高橋正雄訳、講談社文芸文庫) ★LE MONDE diplomatique, Juin 2010 ランボーやヴァレリーの訳詩を買おうかと思ったけど、読むなら原文にしておく。それで先月の続きの『アブサロム』の下巻。しばらく怠け…

『中原中也詩集』

●『中原中也詩集』(吉田凞生編、新潮文庫) 翻訳詩集を読み続けることに限界を感じて、じゃあ日本語で書かれた詩はどうだろうかと手元にある『中原中也詩集』を開いてみた。しかし、まるで速読の練習をしてでもいるかのような超特急で、詩集をこんな風に扱…

『リルケ詩集』

●『リルケ詩集』(高安国世訳、岩波文庫) 『ドゥイノの悲歌』だけでは分からない詩人の全体像を見ることができる書。訳者の好みを反映して、『オルフォイスに寄せるソネット』は全篇収録、後年のフランス語詩からも多く紹介されており、あまりにも重苦しい…

予定

これからの詩の予定。 既に読み始めている『リルケ詩集』は継続。翻訳でもっているもの(ボードレールとヴェルレーヌ)、これから買う予定のもの(ランボーとヴァレリー)も、少しずつ読むことにする。 しかし、あくまで中心は原文の鑑賞だ。これまでギリシ…

『ドゥイノの悲歌』

●リルケ『ドゥイノの悲歌』(手塚富雄訳、岩波文庫) 10年の歳月をかけて書かれた10篇のエレジー。もちろん毎日コツコツ執筆したのではない。その多くは長い沈黙の期間であった。厳しい芸術的態度で書かれただけあって、難解極まる。幸いに詳細な注釈がつい…

『若き詩人への手紙・若き女性への手紙』

●リルケ『若き詩人への手紙・若き女性への手紙』(高安国世訳、新潮文庫) しばしボードレールを中断して、リルケ特集を継続する。「私はまだ手紙を精神交流の一つの手段、最も美しく収穫多い手段の一つと考えている旧式な人間の一人です」(「女性」1919年8…

購入

★『ヴェルレーヌ詩集』(堀口大學訳、新潮文庫) ★『リルケ詩集』(高安国世訳、岩波文庫) ★リルケ『ドゥイノの悲歌』(手塚富雄訳、岩波文庫) ★リルケ『若き詩人への手紙・若き女性への手紙』(高安国世訳、新潮文庫) 『イギリス名詩選』(岩波文庫)を…

契約書送付

A社から送られてきた契約書(請書)に必要事項を記入し、押印して、今日返送した。せっかく新しいプリンターを買ったので、コピーとスキャンを両方して控えを保存しておいた。 仕事は来るだろうか?

『フィレンツェだより』

●リルケ『フィレンツェだより』(森有正訳、ちくま文庫) ルー・サロメといえば、ニーチェの求婚を断ったこともあるすごい女性だ。彼女はまた若いリルケをも虜にした。リルケはイタリアから彼女に、芸術論まで高められた内省的な書簡を書いたのである。 人は…

『マルテの手記』

●リルケ『マルテの手記』(大山定一訳、新潮文庫) 大学に入った頃、ドイツ語同好会だか研究会だか、そんな名前のサークルに顔を出していた。同じ新入生の中に、色白でもち肌で少しぽっちゃりしていて女性的な物腰のクラシック音楽マニアがいて、私なんかと…

電話面接

夕方、A社の電話面接。過去のことを根掘り葉掘り聞かれるかと思いきや、話題になったのはほぼ現在のことだけだった。最初はやさしくて短い案件をやらせなきゃ駄目そうだな、と思ったに違いない。わずか30分程度だったけど、ぐったり疲れてしまった。 単価と1…

『百年の孤独』

●G・ガルシア=マルケス『百年の孤独』(鼓直訳、新潮社) ストーリーを簡単に要約することはできない。マコンドという町の建設から滅亡にいたるまでの、ブエンディア家の物語。その間、6代もしくは7代(最後に産まれるのは甥と伯母の子である)が同じ名前と…

アエネーイス 第4巻

ラテン語の文法書は数種類持っているけど、直ぐに参照できるようにしているのはサン・スルピス会師著、ジャック・ツルデル監修の『ラテン文法』(サンパウロ)と Gildersleeve & Lodge の『Latin Grammar』(私が持っているのは Nelson というところから出て…

同性愛文学としての『白鯨』

『白鯨』において鯨は男根の象徴である、と仮定しても的外れではないだろう。白鯨のあだ名モービィ・ディック(実在のモチャ・ディックなるマッコウ鯨に由来する)にしてからが、それを意味し得るはずだ。 航海の前、語り手のイシュメールは宿屋にて、ひょん…

『白鯨』

●メルヴィル『白鯨』上・中・下(八木敏雄訳、岩波文庫) 学生の頃だったろうか、映画で見たことがある。CGや3Dが発達した今となっては、骨董的な価値を求めて見るよりほかない海洋冒険もの、といったところだろう。しかし、小説そのものはほとんど古びてい…

ダロウェイ夫人

What a lark ! What a plunge ! (p.5) なんという晴れやかさ! 大気のなかへ飛びこんでいくこの気分! (p.11) 5月29日に引用した部分*1の直後の文章。この場合の lark はヒバリではなくて、はしゃぐこと、おもしろいことという意味。英英辞典を見ると「a thi…