本の覚書

本と語学のはなし

『海を見たことがなかった少年』


ル・クレジオ『海を見たことがなかった少年 モンドほか子供たちの物語』(豊崎光一・佐藤領時訳、集英社文庫
 子供の心を失ってしまったせいだろうか、「モンド」以外の作品は読みにくくて仕方なかった(すべて同工異曲ではあるけど)。翻訳の言語感覚もあまりにひどい。「これ以上単純平明な文学言語というものは想像し難い」という原文を、なぜ単純平明に訳すことができないのか。途中からとても日本語とは思えなくなって、何も頭に入って来なくなった。辛すぎて、何度か本を投げ捨てそうになったほどである。