本の覚書

本と語学のはなし

久しぶりに『源氏物語』

古代の祖母君の御なごりにて、歯ぐろめもまだしかりけるを、ひきつくろはせたまへれば、眉のけざやかになりたるもうつくしうきよらなり。心から、などかかううき世を見あつかふらむ、かく心苦しきものをも見てゐたらでと思しつつ、例の、もろともに雛遊びしたまふ。(末摘花18)

古風な祖母君のお躾の名残で、お歯黒もまだつけておられなかったのを〔当時は未婚者もお歯黒をしたらしい〕、君がお手入れをおさせになったので、眉がくっきりしたのもかわいらしく気高に美しい。君は、「自ら求めてのことながら、どうしてこうもままならなぬ縁にかかずらわっているのだろう。こんなにいじらしいものを捨ておいて」とお思いになりながら、いつものようにごいっしょにお人形遊びをなさる。


 日本の古典文学には、できれば読んでおきたいものはたくさんある。しかし、小学館の全集を買い続けた日には、お金がかかりすぎて大変だ。たまには道元も取り上げること。


 古文はそろそろレギュラーに戻してもいいかもしれない。