本の覚書

本と語学のはなし

2010-05-01から1ヶ月間の記事一覧

中巻へ

メルヴィルの『白鯨』は中巻へ突入。上巻に少し手間どったが、面白くないわけではない。むしろ理想的な小説という予感すらする。トライアルの結果通知があったり、プリンターを買い替えたり、カポーティを終わらせるのを優先したりしただけのことだ。 スピノ…

ダロウェイ夫人

ヴァージニア・ウルフの『ダロウェイ夫人』を始める。原文は Penguin Popular Classics。翻訳はたくさんあり、その上なぜか最近また新訳が出たが(既存の翻訳に問題があるのだろうか?)、私が持っているのは集英社文庫の丹治愛訳。講談社選書メチエの『批評…

『Breakfast at Tiffany’s』

●Truman Capote『Breakfast at Tiffany’s』(Penguin Books) 残念ながら村上春樹が好きな作家や作品は私の趣味には合わないようだ。これまで村上訳で読んだ中で面白かったのは『キャッチャー・イン・ザ・ライ』くらいだけど(妹が出てくる後半は苦手)、サ…

プリンター購入

★Canon Pixus MP640 古いプリンターが動かなくなった。プリントヘッドに問題があるらしいけど、説明書の指示通りきれいに拭いてもどうにもならない。近くの家電販売店に行ってみたが、もう部品の製造をしていないので、直るかどうかも分からないという。 コ…

青春は美わし

Mittlerweile hatten wir die letzte Hügelhöhe erreicht, die von einem Absatz zum andern nahe geschienen und sich hingezögert hatte. (p.31) そのうちに、丘の最後の高みに着いた。そこは一段一段と近くに見えていながら、手まどっていたのだった。(p.…

購入

★William Faulkner『Absalom, Absalom !』(Vintage International) いっそのこと『アブサロム、アブサロム!』は原典で読んでしまえ、と思って購入。そうとうの難物らしいけど、だからといって避けていたら原典講読をしている意味もない。『ティファニーで…

合格

A社のトライアルに合格しました。来月面接を受け、それから本登録になるので、仕事を始めるのはもう少し先になりそうです。 T社の方はまだです。あまり自信もありませんが。 とりあえずご報告まで。

購入

★フォークナー『アブサロム、アブサロム!(上)』(高橋正雄訳、講談社文芸文庫) ★LE MONDE diplomatique, Mai 2010 本のまとめ買いはしないようにする。分冊のものも1冊ずつ。ディプロの送料対策ということもあるけど、これ以上積読を増やさないというの…

『サテュリコン』

●ペトロニウス『サテュリコン 古代ローマの風刺小説』(国原吉之助訳、岩波文庫) 少なく見積もっても原典全体の5分の1しか現存していないようだし、現存部分も欠落がひどかったり、意味不明であったり、現在となっては分かりにくい風俗や風刺もあったりする…

予定変更

新しいものに取り掛かる前に、ペトロニウスの『サテュリコン』を終わらせることにする。その後はメルヴィルの『白鯨』ではないかと思う。気が変わりやすくて困る。うっかり日記も書けない。3日前の3つの予定の内、既に2つが変更されようとしているのだ。 第1…

『魔の山』

●トーマス・マン『魔の山』上・下(高橋義孝訳、新潮文庫) ハンス・カストルプがダヴォスにあるサナトリウムにいとこの見舞いにやって来て、自身も結核と診断されそのまま居着き、第一次世界大戦の開始とともに平地に戻るまでの7年間の長大な記録。 サナト…

今後の予定

『魔の山』の読了にはあと3日かかる。急げば2日で終わるけど、長編は終点が見えてくるにつれ、だんだんと別れが惜しくなってくるのだ。手に疲労を覚える下巻800ページの重みにも愛着が湧いている。 とはいえ、次に何を読むかというのは常に考えている。ずっ…

下巻へ

昨日から『魔の山』と並行してペトロニウスの『サテュリコン』(岩波文庫)を読み始めた。疲れたらニーチェ絶賛の古代ローマ版ピカレスクに逃避する。予想以上にすごそうだ。 そこでぼくはこう信じて疑わない。今日の修辞学校は、若者たちを無類の馬鹿者にし…

アエネーイス 第4巻

ややもすると英仏以外の語学は怠けがちになるのだが(いや、英仏もそうだけど)、今回そんな状況に活を入れたのは『魔の山』に登場するセテムブリーニだった。訛りがない完璧なドイツ語によって却ってドイツ人でないことが分かってしまうというイタリア人人…

イーリアス 第1巻

ギリシア語の勉強は熱心にやっている訳ではないけど、というか、熱心でないからこそ、テキストをプラトンの『国家』からホメロスの『イーリアス』に替えてみた。叙事詩ならば、いつどこで止めても、どこから始めても、構わない。今日久し振りに読んだのも、…

命日

次はトーマス・マンの『魔の山』(新潮文庫)。買って来たものは直ぐに読むという原則に従えば小島信夫の『残光』(新潮文庫)を選ばなくてはいけないはずだが、時間のある今の内に出来る限り長編を読んでおきたい(本当はもっと真剣に諸々考え、行動すべき…

『ハックルベリ・フィンの冒険』

●マーク・トウェイン『ハックルベリ・フィンの冒険』(大久保博訳、角川文庫) 子どもの頃にアニメで見ていた記憶がよみがえる。筏で自由に旅をするハックに憧れたものだ。しかし、原作を読むとそんなに自由を謳歌している風には見えない。ハックの自由、あ…

積ん読

次はマーク・トウェインの『ハックルベリ・フィンの冒険』(角川文庫)。通読を目的として買った本は、すぐ読むことにする。買った直後が一番読みたい時であるはずなので、それを逃すとまた別の動機がない限り長らく積ん読になってしまう確率が高くなる。 買…

『競売ナンバー49の叫び』

●トマス・ピンチョン『競売ナンバー49の叫び』(志村正雄訳、ちくま文庫) 大富豪の遺言管理執行人に指定された元恋人が、その職務を遂行する中で、公的な郵便事業に対抗する闇の反体制的コミュニケーションの存在を疑うに至る。あらゆるところにそれを示唆…

購入

★マーク・トウェイン『ハックルベリ・フィンの冒険』(大久保博訳、角川文庫) ★小島信夫『残光』(新潮文庫) この数日、筋肉痛になるほど本棚整理に夢中になっていた。といっても、筋肉痛になったのは運動不足のせいであって、整理自体は大規模なものでは…

『消え去ったアルベルチーヌ』

●プルースト『消え去ったアルベルチーヌ』(高遠弘美訳、光文社古典新訳文庫) グラッセ版による『失われた時を求めて』第6篇の全訳。プルーストが生前に最後の修正を施したのがこの版であるが、仮借ない削除によってずいぶん短くなっており、本文は190ペー…

『熊 他三篇』

●フォークナー『熊 他三篇』(加島祥造訳、岩波文庫) 私の読書遍歴には大きな穴がいくつも開いていて、文学部の出身だなどとは恥ずかしくて大きな声では言えないのだけど、これまでフォークナーの1行たりとも読んだことがないというのも、本来ならば秘密に…

山菜採り

山菜採りに行った。といっても、いつもの通り私は両親を車に乗せて目的地に運ぶだけで、現地ではずっと本を読んでいる。一昨年はカーヴァーの傑作短編集*1、昨年は数学の参考書だったが*2、今年はフォークナーの『熊』。 小さな社の境内に据えられたベンチや…