本の覚書

本と語学のはなし

2012-06-01から1ヶ月間の記事一覧

面接

某ビル会社の面接を受けてきた。社長とその息子と思われる専務が面接官であったが、二人とも割と誠実そうで、過去のことを根掘り葉掘り聞くこともなく、主に業務の説明をして、質問に答えてくれただけだった。もともと意地の悪い面接をする人たちではないだ…

「若紫」→「万葉集巻二」挽歌

藤壺の姪にあたる、紫の上という少女を引き取る話を終える。『源氏物語』を最後まで読み通す自信がついた。古文の読解力もようやく中級に進んだようだ。 そこで、ちょっと一休み。『万葉集』巻二の後半、挽歌が途中になっていたので、これを終わらせることに…

奪取

若君も、あやしと思して泣いたまふ。少納言、とどめきこえむ方なければ、昨夜(よべ)縫ひし御衣どもひきさげて、みづからもよろしき衣着かへて乗りぬ。(若紫22) 姫君もわけの分らぬ気持ちでお泣きになっている。少納言〔女房〕は、もうお止め申すすべもな…

鈍感

Puis, vers six heures, la voiture s’arrêta dans une ruelle du quartier Beauvoisine, et une femme en descendit qui marchait le voile baissé, sans détourner la tête. (p.328) やがて六時ごろ、馬車はボーヴォワージーヌ区のとある裏町にとまった。…

応募と購入

ある会社に応募してきた。求人票だけでは定かではないけど、予想される勤務体系をシミュレートしてみると、かなり自由な時間を持てそうだ。給料がいいわけでもないのに、既にライバルはたくさんいる(休みが多く、仕事も楽と思われているのかもしれない)。…

『サロメ』

●ワイルド『サロメ』(福田恆存訳、岩波文庫) 平野啓一郎の新訳が出て、舞台化もされるというが、私が読んだのは福田恆存の古い訳。ビアズレーの挿絵付き。福田はスペクタクル的官能美の表現を否定し、あくまでせりふ中心の運命劇だとするが、ひたすら耽美…

懐妊

七月になりてぞ参りたまひける。めづらしうあはれにて、いとどしき御思ひのほど限りなし。すこしふくらかになりたまひて、うちなやみ面痩せたまへる、はた、げに似るものなくめでたし。例の、明け暮れこなたにのみおはしまして、御遊びもやうやうおかしき空…

勤務希望

塾に夏期以降の勤務希望書を提出する。「まったくできない」というところに丸をつけた。塾のアルバイトだけでは生計は成り立たない。適性はまったくないと言ってよい。経済的にも能力的にも、そろそろ限界だった。7月下旬、塾講師の仕事に終止符を打つ。 ど…

手強いねじの回転

『ねじの回転』の英語は手強い。その上、日本語で小説を読んでいた間ほぼ中断していたものだから、ほとんど進んでいない。今日はよく頑張った方だ。 行方訳は平明簡素、ときに説明的になりすぎているきらいがあり、原文の複雑さや分かりにくい言葉遣いは、ほ…

『第三の嘘』

●アゴタ・クリストフ『第三の嘘』(堀茂樹訳、ハヤカワepi文庫) 国境を超えたリュカは、双子の兄弟のもう一方の名を名乗りクラウスとして生きていく。自分の過去をノートに書き綴る。事実を書くのではない。あって欲しかったように書く。リュカの一人称で綴…

『ふたりの証拠』

●アゴタ・クリストフ『ふたりの証拠』(堀茂樹訳、ハヤカワepi文庫) 『悪童日記』の続編になるが、趣はかなり異なる。おばあちゃんの家に残った双子の片割れリュカ(LUCAS)をめぐる、三人称の物語である。登場するのは、戦争やその後の全体主義的支配の中…

『悪童日記』

●アゴタ・クリストフ『悪童日記』(堀茂樹訳、ハヤカワepi文庫) 戦争中、〈小さな町〉のおばあちゃんに預けられた双子が、過酷な現実を生きるべく様々な練習を積み、彼らの身につけた苛烈なヒューマニズムに従って制裁すべきを制裁し粛清し、安らかに葬るべ…

購入と応募

午前中。この前行った工業団地とは別のところにある工場を視察。自宅から自転車で15分。冬場でも徒歩で通勤できるかもしれない。今の足(の裏)では少しの距離でも歩きたくないけど、車を持つ余裕があるとは限らない。 安い床屋で短く刈ってもらう。通い始め…

「若紫」開始

古文枠はそのまま残すことにした。塾を7月で辞めるとして、それまではタイム、歴史参考書、日本古典文学、フランス文学、英米文学を読み続ける。現代日本語で小説を読みたければ、英語かフランス語を犠牲にする。 ギリシア語、ラテン語、ドイツ語の復活も考…

『町でいちばんの美女』

●チャールズ・ブコウスキー『町でいちばんの美女』(青野聰訳、新潮文庫) もともとは『勃起、射精、露出、日常の狂気にまつわるもろもろの物語』という短編集だったのを、後に『町でいちばんの美女』と『ありきたりの狂気の物語』に分割した。もちろん上品…

「夕顔」読了

うちとけで向かひゐたる人は、え疎みはつまじきさまもしたりしかな、何の心ばせありげもなくさうどき誇りたりしよと思し出づるに憎からず、なほ懲りずまに、またもあだ名立ちぬべき御心のすさびなめり。(夕顔18) 「こりずまにまたもなき名は立ちぬべし人に…