本の覚書

本と語学のはなし

2008-12-01から1ヶ月間の記事一覧

2008年

今年最大のニュースは、9年間勤めた役所を辞め、産業翻訳(金融)の勉強を始めたこと。経済危機の大変な時期に辞めてしまったが、後悔はしていない。自信に満ちているのではない。危機感は持っている。しかし、没落したなら没落したなりに生きていけばいいの…

12月

◆相変わらず本が読めない。これが一番の問題だ。 ◆プールに通う生活にも慣れてきた。しかし、前半はかなり生活のペースが乱れた。時間割をいろいろといじる。まだ定まらない。 ◆12月の一冊は、Charles Dickens『A Christmas Carol』(Bantam Classic)。 …

英国

★吉田健一『英国に就て』(ちくま文庫) 最近はもう考えることもなくなったが、以前は大学に入り直すことをよく空想した。何を学ぼうか。その時々の関心に従って、それは哲学であり、仏教であり、フランス文学であった。今その妄想の続きに耽るとしたら、経…

『アメリカの経済政策』

●中尾武彦『アメリカの経済政策 強さは持続できるのか』(中公新書) アメリカの経済政策を歴史的に振り返る本だと勝手に思い込んでいたら、かなり手堅い現状分析であった。さすがに中公新書というべきか、刺激に満ちて一気に読ませるというものではなく、ま…

A Christmas Carol 追記の追記

小林佑子『しぐさの英語表現辞典』(研究社)で調べる。 ◆wrinkle one’s eyes ⇒ screw one’s eyes up ◆screw one’s eyes up 目を細める《まぶしいとき,煙いとき,何かをよく見ようとするときなど》. [類]narrow one’s eyes / squint (one’s eyes) / wrinkle o…

A Christmas Carol 追記

あくまでメモ。 「wrinkle up their eyes in grins」(目に皺を作って笑う)というのが分かりにくいが、目をつぶって笑う時の様子を皺を刻むことに譬え、それが盲目の人のようだということを言っているのではないか。「as have」の「as」は関係代名詞かとも…

The Gifts of the Body

レベッカ・ブラウン『体の贈り物』を読み始める。参照する翻訳は新潮文庫の柴田元幸訳。 あまりにやさしい英文なので、レベッカ・ブラウンが天使のように見える。今日は翻訳研究というよりも、読み始めた記念に原文と翻訳を引用しておくのが目的である。 He …

『A Christmas Carol』

●Charles Dickens『A Christmas Carol』(Bantam Classic) 明日読み終える予定だったのだが、面白くて最後まで読み通した。しかし、村岡訳に誤訳が多いということを何度も書いているように、それほどやさしい読物ではない。意外に苦労してしまった。 今日気…

Bel-Ami

『ベラミ』の杉訳。 レストランでフォレスチエ夫人がつぶやくように言う。 « Il n’y a pas de bonheur comparable à la première pression de mains, quand l’un demande : « M’aimez-vous ? » et quand l’autre répond : « Oui, je t’aime. » 最初に手を握…

A Christmas Carol

昨日、池訳の「まった毀損の意図により」は「まったきその意図により」を誤入力、誤変換したものだろうかと書いた。これは取り消したい。池訳を見ていると、「さりながら、ものを脅さんそのために、まった毀損の意図により」の部分は五七五七五で調子を取っ…

動物もの

★ジャック・ロンドン『白い牙』(白石佑光訳,新潮文庫) 『野性の叫び声』のペーパーバックには『白い牙』も収められているので、翻訳も一緒に注文した。翻訳だけ先に届いた。 意外に厚い。動物ものって子どものころ以来読んだ記憶がないのだけど、あんまり…

A Christmas Carol

ときどきクリスチャンを装ったようなことを書いているが、信心があるわけではない。私の人生の中で一等宗教的な傾向が強かった頃でも、東洋的な神秘主義を抜け出たことはないし、カトリックの洗礼を受けた時ですら根本的な回心をしたというより、神秘主義か…

ペーパーバック

★Somerset Maugham『The Summing Up』(Vintage Classics) ★Henry James『The Turn of the Screw』(Dover) ★Henry James『Daisy Miller』(Penguin Classics) ★Ernest Hemingway『The Sun Also Rises』(Scribner) ★Truman Capote『Breakfast at Tiffan…

重複あり

だらりと過ごした週末。アマゾンで英米文学のペーパーバックを発注する。 次に発注する予定のものもカートに入っている。たくさん入れすぎたので、ふるいにかける必要がありそうだ。 夕方から『クリスマス・カロル』の原典講読に集中する。来週に読了予定。 …

日常最新版

パリに行った夢を見る。パリにいるはずなのだが、昔の同級生らと寮のようなところに寝泊りをしていて、観光をするでもなくつまらない日常を送っている。もうすぐ帰ることが決まっていて、そう言えばなんにも見ていないと思うものの、時間もないしお金もない…

A Christmas Carol 素直にの巻

今日の『クリスマス・カロル』は現在のクリスマスの精霊(過去、現在、未来と三人の精霊が登場する内、二番目の現在の精霊。物語進行時現在のクリスマスをスクルージに見せる)のセリフ。おそらく聖職者に対する風刺であろう。 不注意な読み方をしていたせい…

『宮崎の今すぐ書ける英作文 和文英訳編』

●宮崎尊『宮崎の今すぐ書ける英作文 和文英訳編』(東進ブックス) 細かい文法や複雑な構文を使いこなすための本ではない。強調されているのは次の5点。 1.日本語との一対一対応にこだわらない 2.内容をつかんでやさしく、 3.日本語を英語の構造に直し…

休日

午前中ずっと、『クリスマス・カロル』を読む。意外に読みにくい。昔、私が初めて読もうとしたペーパーバックではあるが、断じて最初の一冊向きではない。村岡訳を見るとよい。ちょこちょこ誤訳を犯している。 『赤毛のアン』読者の不安を煽りそうなので急い…

The Republic

『国家』の藤沢訳。 Οὐ καὶ ἡ τέχνη, ἦν δ’ἐγώ, ἐπὶ τούτῳ πέφυκεν, ἐπὶ τῷ τὸ ξυμφέρον ἑκάστῳ ζητεῖν τε καὶ ἐκπορίζειν ; (341D) 「そして技術そのものもまた」とぼくは言った、「本来はまさにそのことのために存在するのではないか? すなわち、それぞれ…

Die Verwandlung

『変身』の池内訳。 Einmal, es war wohl schon ein Monat seit Gregors Verwandlung vergangen, und es war doch schon für die Schwester kein bosonderer Grund mehr, über Gregors Aussehen in Erstaunen zu geraten, kam sie ein wenig früher als sons…

Aeneid

『アエネーイス』の泉井訳。 ipsa tenens dextra pateram pulcherrima Dido candentis vaccae media inter cornua fundit aut ante ora deum pinguis spatiatur ad aras instauratque diem donis, pecudumque reclusis pectoribus inhians spirantia consuli…

Bel-Ami

『ベラミ』の杉訳。 En une heure, il eut terminé une chronique qui ressemblait à un chaos de folie, et il la porta, avec assurance, à La Vie française. 一時間で、一編の中間読み物を書き上げたが、それはまずあほだら経にそっくりのものだった。彼…

変身、国家、アエネーイス

いつもの発作かもしれないが、前々から考えていてようやく行動に移したのだから、衝動的というほどではない。 またドイツ語、ギリシア語、ラテン語で原典講読を再開した。カフカの『変身』、プラトンの『国家』、ウェルギリウスの『アエネーイス』である。 …

A Christmas Carol

ちょっとしつこいようだけど、『クリスマス・カロル』の村岡訳と池訳の比較。 He lived in chambers which had once belonged to his deceaced partner. They were a gloomy suite of rooms, in a lowering pile of building up a yard, where it had so lit…

A Christmas Carol

『クリスマス・カロル』の村岡訳と池訳は、ところどころ解釈が異なっている。今後はいちいちあげつらうことはないだろうが、今日は気がついたところを少しだけ。 This lunatic, in letting Scrooge’s nephew out, had let two other people in. この頭のおか…

『1997年 世界を変えた金融危機』

●竹森俊平『1997年 世界を変えた金融危機』(朝日新書,2007年) 1997年あたりの金融危機を概観するのに便利な本。 ナイトの不確実性を強調する。経済で客観的予測の成り立つ領域は限られるという、素人が聞いても何ら驚かないような話である。しかし、最後の…

A Christmas Carol

徹夜で通信講座の課題を仕上げ、午前中に投函する。銀行でお金をおろし、車屋に行って支払いをし、図書館で『クリスマス・キャロル』の新訳を借り、最後に床屋に行って散髪する。午後、漸く眠る。 一昨日書き抜いた『クリスマス・キャロル』の原文に対する池…

A Christmas Carol

『クリスマス・カロル』の村岡訳。 スクルージの甥が、クリスマスの夕食の招待に来た場面。 “Don’t be angry, uncle. Come! Dine with us to-morrow.” Scrooge said that he would see him――yes, indeed he did. He went the whole length of the expression…

A Christmas Carol

ディケンズ『クリスマス・カロル』(または『クリスマス・キャロル』)の村岡花子訳。 Old Marley was as dead as a door-nail. Mind! I don’t mean to say that I know, of my own knowledge, what there is particulary dead about a door-nail. I might h…