本の覚書

本と語学のはなし

2013-02-01から1ヶ月間の記事一覧

振り返る2月 〈詩の方へ〉

2月に読んだ本。 (1) 鷗外歴史文学集(一)/森鷗外:http://d.hatena.ne.jp/k_sampo/20130201/p1 (2) タイタス・アンドロニカス/シェイクスピア:http://d.hatena.ne.jp/k_sampo/20130202/p1 (3) 考える短歌/俵万智:http://d.hatena.ne.jp/k_sampo/2013…

日本語のレトリック/瀬戸賢一

学生時代にはキケロの『カティリーナ弾劾』を授業で読んだりしたから、レトリックには関心がある。しかし、日本ではあまりこれを主題にした本を見ないので、しかも高校生くらいを対象にその重要性を説いているので、嬉しくなる。 レトリックは決して疾しさを…

空の青さをみつめていると/谷川俊太郎

学生時代の友人F君は、同時代の人の中では柄谷行人、高橋源一郎、谷川俊太郎に傾倒していた。それで、ある時谷川の詩集を貸してくれたのだけど、それまで誰とも文学的な趣味を共有したことがなかったから、他人から本を薦められるのは不得手であった。それに…

坂の上の雲(六)/司馬遼太郎

バルチック艦隊は相変わらずアフリカ辺りで停滞し、やっとインド洋向かおうとするところ。陸戦の方は黒溝台の激戦が終わり、乃木軍は陥落せしめた旅順から北進し、奉天開戦も間近というところ。私の読書も遅々として進まない。 一番面白いのは「大諜報」と題…

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三好達治『詩を読む人のために』、谷川俊太郎『詩ってなんだろう』、吉本隆明『詩の力』、瀬戸賢一『日本語のレトリック』。俄かに詩を読みたくなってきた(つまり、書きたくもある)。ホメロス、ウェルギリウス、イギリス詩選、フランス詩選、中国詩選、万…

コロボックル物語1 だれも知らない小さな国/佐藤さとる

昔読んだ佐藤さとるの作品が何であったか思い出せない。ただ彼の名前にはいつも郷愁を感じていた。 今読んでみると、意外に大人な文章だった。主人公の語りは過去の回想であるし、コロボックル(小人)を最初に目撃したのは小学生の頃だが、本格的な交渉を持…

小説講座 売れる作家の全技術/大沢在昌

選抜された作家志望者を相手に、大沢在昌が講義し、質疑に応答し、課題を与えて講評する。テクニックだけならクーンツの『ベストセラー小説の書き方』の方が包括的だが(未読だけど)、生徒の作品に対するあれこれのアドバイスが、あるべき小説の方向を教え…

鷗外近代小説集(二)/森鷗外

杯 自然主義を表す七人の娘たちに対し、もう一人の娘は彼女らに通じない言語でもって「わたくしの杯は大きくはございません。それでもわたくしはわたくしの杯で戴きます」と宣言する。日露戦争後、文壇へと復帰した鷗外の宣言である。 花子 ロダンのモデルと…

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森類『森家の人びと』、山崎正和『鷗外 闘う家長』、松井利彦『軍医森鷗外』。森家の人が書いたものと言えば、鷗外の妻の小説を手に入れたいのだが、どこか出版してくれないだろうか。森家の人びと―鴎外の末子の眼から作者:森 類メディア: 単行本鴎外―闘う家…

坂の上の雲(五)/司馬遼太郎

ようやくなった二〇三高地の奪取、まだアフリカ辺りで苦労しているバルチック艦隊がこの巻の中心となる。乃木希典について司馬は無能の烙印を押しつけて憚らない。別の見地から書かれたものも読んでみなくてはならない。 引用は、正式な旅順降伏の前、休戦状…

北村薫の創作表現講義/北村薫

早稲田大学で二年間行った表現の授業の一部を、紙上に再現したもの。いろんな表現分野の薀蓄、歌人や編集者をゲストに招いてのインタビュー。ヒントは盛りだくさんであるけど、決してテクニックを教えるわけではない。実際にものを書き、評論し合うという実…

道元禅師全集(十七)/道元

道元禅師和歌集 道元の和歌として伝わっているものの数は少ない。それらが必ずしも真作とは限らないし、道元が詠んだままを伝えているかどうかも知る由はない。和歌の体裁を取っているものの証道歌であって、一言一句をもおろそかにしてはいけない作品として…

別冊太陽 森鷗外/山崎一穎監修

新潮日本文学アルバム*1と同じように写真をたくさん掲載。あちらは一人の書き手によって生涯を編年体で追っていくが、こちらは伝記部分は簡略である代わりに、さまざまなテーマから複数の書き手が光を当て、今まで思っても見なかったような鷗外の像を結ぶ。 …

詩のこころを読む/茨木のり子

書けるものなら、私が作りたいのは、俳句より短歌より、断然自由詩である。でも、この本を読んでいて、さまざま紹介される詩を鑑賞して、なんだかちっとも心の動かないのはどうしようもない。私はこれまで詩人でなかったように、これからも詩人にはなれない…

決定版一億人の俳句入門/長谷川櫂

社会人になったばかりの頃、もう何をする時間もないだろうから、本は二三冊に絞って繰り返し読もう(具体的には『徒然草』や『方丈記』など)、創作などと大それたことはできないから手慰みに俳句でも作ろう、と思ったことがある。当時読んだ俳句入門に、で…

考える短歌/俵万智

わが跡をふみもとめても来んといふ遠妻あるを誰とかは寝ん 追っかけて来ようというような親切に云ってくれるおまえさんがあるのに外のものにかかりあってなるものかという意味なのだよ。歌というものは上手にはなかなかなれないが一寸やるとおもしろいものだ…

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茨木のり子『詩のこころを読む』、俵万智『考える短歌』、長谷川櫂『決定版1億人の俳句入門』。まだ読んでないから何とも言えないが、俳句を作ることだけはないだろうな。詩のこころを読む (岩波ジュニア新書)作者:茨木 のり子発売日: 1979/10/22メディア: …

タイタス・アンドロニカス/シェイクスピア

すさまじい復讐劇。道化が登場するけど、まだまだ存在感が薄い。 タイタス・アンドロニカス (白水Uブックス (6))作者:ウィリアム・シェイクスピア発売日: 1983/10/01メディア: 新書

鷗外歴史文学集(一)/森鷗外

西周伝(にしあまねでん) 周の父は森家の出身で、鷗外の祖父の兄弟にあたる(鷗外の祖父は養子だから、鷗外と周の間に直接的な血のつながりはなさそうだ)。同じ藩医の家系で、家も近所であった。鷗外が東京へ出てからも、大学入学前の一時期、周の家に住ん…