2012-01-01から1年間の記事一覧
A 仕事 (1) 学校の非常勤講師を三月に辞める。代表者のやり方になじめない。 (2) 塾の非常勤講師を七月に辞める。資質が欠如している。 (3) 夏にようやく新しい職を見つける。給料は少ないが、比較的楽な仕事だ。責任もノルマも残業もない。変則的な生活リズ…
河井継之助は死に際して自分の棺を下僕に作らせ、その様子をしっかと見ていたという。その最期を書きたくて、司馬は『峠』を構想したのではないだろうか。 なるほど人物としては面白い。だが一藩のリーダとしてはどうだろう。内部に対しては腹の内を誰にも明…
哲学は畢竟シェイクスピアを読む営みに尽きるという人があったとしても、あやしむに足りない。それどころか、我々が生きるに必要なことはすべてシェイクスピアの中にあるとすら思うことがある。 リチャード では言おう、私はあなたの娘御を愛している、心か…
『クリスマス・キャロル』との出会いは、本よりも先ず映画であった。中学三年のクリスマスだったと思う。模擬試験か何かを終えて帰宅し、たまたまつけたテレビでやっていた。しかし、あまりに多く映画化、ドラマ化されているために、どのバージョンで見たの…
まったくクリスマスの気分ではない。田舎だからということもあるが、田舎にも年末や正月はやって来るのに、年の瀬を意識することもない。いつの頃からか、時間はいつでも均質にのっぺりと繰り延べられていくだけになった。せめて『クリスマス・カロル』(現…
史実ではないようだが、福沢諭吉と議論する場面がある。 継之助は、儒教の徒である。儒教は王を輔けて人民の幸福をはかるという政治思想であり、あくまでも人民は上から撫育すべきものという、あたまがある。 それが継之助の「人民」だが、福沢の「人民」は…
当初一月五日頃に届く予定だったキンドルが来たのは、昨日のこと。仕事に出掛けなくてはならなかったので、今日になって封を開き、初期設定をする。 Wi-Fiのパスワードが難関であるについては、レビューに散々呪いの言葉が書かれている。私もルーターのパス…
独文科の教授の研究室に岩波の鷗外全集がずらりと並んでいるのを見て、私のちっぽけな筑摩の全集を恥じ、いつかあれを手に入れたいと念願したことがあった。 鷗外関連本をまたまとめて注文する。 鷗外の訳したもの、訳されたもの。『諸国物語』上下、『現代…
岩波書店の「鷗外全集」全38巻と筑摩書房の「フローベール全集」全11巻が届いた。 前者は旧漢字、旧仮名遣いのテキストだけで、全く注釈はない。主要な文学作品を読むためには、岩波書店の「鷗外近代小説集」と「鷗外歴史文学集」、ちくま文庫の「森鷗外全集…
... sese interea, quando optima Dido nesciat et tantos rumpi non speret amores, temptaturum aditus et, quae mollisima fandi tempora, quis rebus dexter modus. (IV 291-294) 『しかしやさしいディードーは、何にも知らずひたすらに かほどに深い愛…
郷土史には興味がない。それどころか意識して避けてきた。無批判な賛美は嫌いだし、異邦人のように生きていたかったのだ。 だから私は上杉謙信といっても敵に塩を贈ったことしか知らないし、しばしば万能の免罪符として用いられ祭りの名前にも冠されている米…
καὶ ποτὲ τοι τρὶς τόσσα παρέσσεται ἀλγαὰ δῶρα ὕβριος εἵνεκα τῆσδε· (A213-214) いずれこの無法な仕打ちの償いとして、三倍もの見事な品々がそなたに贈られるであろう。(上p.21) むかし好きで時間をかけたこと、本当はやりたかったけれど手を出さなかった…
『変身』が途中になっているので、その続きを読む。レクラム文庫の活字が小さくて辛い。池内紀の翻訳も好きではないが、今はこれしか持っていないので仕方ない。 Die Verwandlung作者:Kafka, Franz発売日: 1995/01/01メディア: ペーパーバック変身―カフカ・…
いつ読み始めたかも覚えていない『青春は美わし』をやっと終えた。久しぶりに帰郷した青年の少し切なく、しかし平和な物語である。 ブランクがあるので、英語やフランス語よりも余計に辞書を引かなくてはいけない。私が熱心にドイツ語を読んでいたのは学生時…
またそれは、時の悪法にたいする、人間の正しい人間提示でもあった。(p.420) こんな一文で結ばれている。時の悪法とは、綱吉の生類憐みの令である。そして、人間が犬以下であるとされた世に糜爛する元禄の風潮である。赤穂浪士の討入りは、それへの観念上の…
『古事記伝』を書き終えた後、ようやく暇を得て初学者向けに古学の心得を書きつけたのが『うひ山ぶみ』。タイトルは「初めての山歩き」といった意味である。前半が総論、後半がそれに注を付ける形で各論となっており、なかなかよくできた体系的な入門書だ。 …
最近まったく開きもしなかったTIMEを久しぶりにちょっとだけ読んでみた。ガザの話。 What the rest of the world regaeds as war ― Israeli officials prefer to call it an “operation” ― has become a chore, more than a little dangerous but not to be …
今回の注文。 森鷗外の書いたもの。『鷗外近代小説集 第二巻』、『森鷗外の「知恵袋」』、『妻への手紙』。第2巻 普請中・鶏 ほか (鴎外外近代小説集)作者:森 鴎外発売日: 2012/12/06メディア: 単行本森鴎外の『知恵袋』 (講談社学術文庫)作者:森 鴎外発売日…
二か月前に買った中公文庫の歴史シリーズ*1。ずいぶん茶色く変色している。あまり放置し続けると、手に取る気も失せてしまいそうだ。職場で開くには向いていないかもしれないけれど、学習参考書と訣別するためにも、早いとこ読み始めることにした。 考古学の…
映画でもドラマでもきちんと『忠臣蔵』を見たことはないが、昔は年末になれば毎年必ずテレビで放映されていたから、それぞれ部分的しか目にしなかったにしろ、大方の筋は分かる。 吉川英治の『新編忠臣蔵』は全二冊。前半は浅野内匠頭の刃傷から赤穂城の明け…
『源氏物語』「葵」の巻を終える。源氏の妻・葵の上は六条御息所の生霊に祟られて死亡。源氏は成長した(といっても今の中学生くらいだと思うが)紫の上と契り、それ以来彼女の機嫌が悪い。 御年の加はるけにや、ものものしきけさへ添ひたまひて、ありしより…
生誕百五十年を記念して刊行されつつある、岩波書店の「鷗外近代小説集」を買うことにした。全六冊中、既に手に入るのは第四巻(『青年』所収)と第六巻(『かのやうに』、『雁』、『二人の友』などを所収)の二冊。旧仮名遣い、新漢字、文字はやや大きめ、…
『鷗外歴史文学集 第一巻』を始める。先ずは『西周伝』から。西周は「哲学」という言葉を考案したことで有名な人だ。鷗外の遠縁にあたり、学生の鷗外を自宅に下宿させていたこともある。伝記は、周の死後、養子の紳六郎の委嘱を受けて書かれたもので、簡素こ…
ちくま文庫の鴎外全集はかなり前に買い*1、第一巻を半分くらい読んで*2、後は放置していた。その続きを始めたのである。だが読んだのは『魔睡』と『ヰタ・セクスアリス』だけ、『鶏』以下の三作品はやめた。 理由は簡単で、近頃岩波書店から鴎外近代小説集が…
結局ブックオフで在庫がなかった分はアマゾンの古本で注文した。ついでに追加したのは、司馬遼太郎『戦雲の夢』、藤沢周平『密謀』上下、新書で松浦玲『勝海舟』、『勝海舟と西郷隆盛』、『坂本竜馬』、『新選組』、『徳川慶喜』、佐々木克『戊辰戦争』、小…
司馬遼太郎に心酔したわけではないけど、歴史に親しむにも職場で読むにも最適であるので、つい古本で大量購入してしまった。 ブックオフでは手に入らないものもあった。とりあえず入荷を待っているが、アマゾンの中古を買うかも。アマゾンの場合、基本的に出…
歴史は幕末という沸騰点において、近藤勇、土方歳三という奇妙な人物を生んだが、かれらが、歴史にどういう寄与をしたか、私にはわからない。(p.253) 司馬遼太郎はべつに歴史的な評価をしようとして土方歳三を描いたわけではない。むしろ、近代以前の戦乱の…
因習にとらわれた砂の部落でシーシュポスのような暮らしをする女。その蟻地獄に嵌り、何度も逃亡を試みては失敗する男。しかし、彼が帰ろうとする世界も本当に帰るに値する世界だったろうか。砂丘に地味な昆虫を探しに来たのは、地上の世界の諸々から逃れ忘…
初めてブックオフ・オンラインで買い物をした。どの程度のコンディションなら売り物にするかという基準は示されているが、個々の商品につての状態は分からない。実際のところどうなのだろうと思っていたけど、今日届いたものを見る限り、大丈夫そうだ。アマ…
新選組(この本では撰の字は用いない)誕生まで二百数十ページ。池田屋事件、蛤御門の変などの後、慶応二年の初めあたりで上巻が終わる。私は新選組には何の興味もなく、何らのシンパシーも抱かないのだけど、幾つか興味を引いた点はある。 第一に、新選組は…