本の覚書

本と語学のはなし

2014-06-01から1ヶ月間の記事一覧

振り返る6月

6月に読んだ本 (1) キリスト教神学入門/A. E. マクグラス (2) ベンヤミン「複製技術時代の芸術作品」精読/多木浩二 (3) 図説ギリシア語聖書の写本/B. M. メッツガー (4) マルティン・ルター/徳善義和 (5) 本の歴史/ブリュノ・ブラセル (6) 本ができる…

本ができるまで/岩波書店編集部編

第1章はグーテンベルクから現代までの印刷技術の発展。凸版印刷から凹版印刷、平版印刷、そしてオフセット印刷へという流れを概観する。 資料の図版がたくさんあるのはいいのだけど、仕組みをもっとイラストで紹介してくれるとなおありがたかった。 第2章で…

購入6-5

本の歴史 本の歴史関係を買い足す。 F. G. ケニオン『古代の書物』(岩波新書)。例えばプラトンはどんな形態の本を読んでいたのか、あるいは読まなかったのか。自分の著作をどうやって記していたのか。案外そういうことを、私たちはよく知らないのだ。訳者…

本の歴史/ブリュノ・ブラセル

写本は初め巻物が主流であったが、やがて紙を束ねて折った冊子(コデックス)が登場し、今日の本に近いものが出来上がる。キリスト教の文書は主としてコデックスで保存されたようだ。 15世紀、グーテンベルクが活版印刷を発明する。彼について確かなことはほ…

マルティン・ルター/徳善義和

ルターの名 ルターの本来の家族名はルダー(Luder)である。ところが、1517年10月半ば頃から、ギリシア風のエレウテリウス(Eleutherius)という名前を使い始めた(当時、人文主義者の間で流行っていたという)。エレウテロスといえばギリシャ語で「自由な」とい…

購入6-4

積読を大量に抱えているにもかかわらず、今月もたくさん購入。 マルクスとベンヤミン 内田樹・石川康宏『若者よ、マルクスを読もう』(かもがわ出版)。著者二人の往復書簡で、『共産党宣言』『ユダヤ人問題によせて』『ヘーゲル法哲学批判序説』『経済学・…

創世記第3章15節

新共同訳の場合 お前と女、お前の子孫と女の子孫の間に わたしは敵意を置く。 彼はお前の頭を砕き お前は彼のかかとを砕く。 女を誘惑し知恵の木の実を食べさせた蛇に対して、神が呪いの言葉を発するところである。 上に示したのは新共同訳であるが、3行目の…

図説ギリシア語聖書の写本/B. M. メッツガー

大型本でいろんな写本の図版を見せてくれるので楽しい。よく訓練された人による手書きのギリシア文字って、とても官能的。 ただ、これを読んだだけで写本に通じることができるようにはならない。独学でやっていくのも難しそうなので、深入りはしないことにし…

アイコンの変更

テトラドラクマ アイコンに特に思い入れはないので時々変えたりする。今回もブログテーマを変えたらセピアの色調に鮮やかな青が合わない気がしたという、それだけのことである。 新しいアイコンは古代ギリシャの4ドラクマ銀貨だ。現代ギリシャでも、1ユーロ…

購入6-3

G. タイセン『新約聖書――歴史・文学・宗教』(教文館)。 原著の方は既に入手して、もう読み始めている。ところが、翻訳は原著の方とは若干異なるらしい。訳者あとがきの中で大貫隆は言っている。 わたしは2002年5-7月の3ヶ月間、在外研究のため著者のもとに…

サムエル記メモ(ほぼ引用だけ)

ヤハウェの霊はサウルから離れ、ヤハウェからの悪霊が彼をおびえさせた。(サム上16:14) 岩波の聖書翻訳委員会訳。ヤハウェ*1は良い霊だけでなく、悪い霊をも自在に操っていたという。 以下は分冊版(『旧約聖書Ⅴ サムエル記』)の解説からの引用。 悔いるヤ…

購入6-2

Gerd Theißen『Das Neue Testament』(C. H. Beck)。新約聖書の成立について、文学史的アプローチからまとめたドイツ語の入門書。 大貫隆の翻訳が出ている。G. タイセン『新約聖書――歴史・文学・宗教』(教文館)である。あとでこちらも購入して(古本だが)…

ベンヤミン「複製技術時代の芸術作品」精読/多木浩二

後半にベンヤミンの「複製技術時代の芸術作品」の本文*1が掲載されているので、先ずそちらから読んでみた。想像していたほど意味不明ではなかった。赤線を引いた箇所は大方、前半の多木浩二の解説の中で引用されている文章だったから、ポイントもそれほど外…

購入6-1

ベンヤミン『パサージュ論』全5巻(岩波書店)。日本の古本屋のサイトでまとめて購入。岩波現代文庫版が届くものと思っていたら、単行本の方だった。それならアマゾンで買う方が安かった。 私にはまだベンヤミンの射程がよく分かっていない。そもそもベンヤ…

キリスト教神学入門/A. E. マクグラス

大部の入門書。入門書だからそれぞれの項目は深く掘り下げられているわけでないけど、より高度な神学書を読むための基礎的知識はこれ1冊で十分に得られるらしい。 一応記述が中立的であるとして評価されているが、著者は聖公会に属する福音主義の人であるこ…