本の覚書

本と語学のはなし

『チャタレイ夫人の恋人』開始


 ジェイムズに苦労してきたお蔭で、ずいぶん素直で易しい英語に見える。最後までこのままの調子で進まんことを。
 例によって冒頭部分を書き抜いておく。参照するのは、新潮文庫伊藤整訳(伊藤礼補訳)。

Ours is essentially a tragic age, so we refuse to take it tragically. The cataclysm has happened, we are among the ruins, we start to build up new little habitats, to have new little hopes. It is rather hard work: there is now no smooth road into the future: but we go round, or scramble over the obstacles. We’ve got to live, no matter how many skies have fallen. (p.1)

 現代は本質的に悲劇の時代である。だからこそわれわれは、この時代を悲劇的なものとして受けいれようとしないのである。大災害が起り、われわれは廃墟の真っただなかにあって、新しいささやかな棲息地を作り、新しいささやかな希望をいだこうとしている。それはかなり困難な仕事である。いまや未来に向かって進むなだらかな道は一つもないから、われわれは、遠まわりをしたり、障害物を超えて這いあがったりする。いかなる災害が起ったにせよわれわれは生きなければならないのだ。(p.5)


完訳チャタレイ夫人の恋人 (新潮文庫)

完訳チャタレイ夫人の恋人 (新潮文庫)

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*1:私が持っているワーズワース・クラッシクスの原文はアダルト指定されているので(未だに!)、画像を表示できない。