本の覚書

本と語学のはなし

【モンテーニュ】最近のあの企てに伴って危険や困難を引き受けよう【エセー1.56】

 モンテーニュ『エセー』第1巻第56章「祈りについて」を読了する。

Ils m'en peuvent croire. Si rien eust deu tenter ma jeunesse, l'ambition du hazard et difficulté qui suivoient cette recente entreprinse y eust eu bonne part. (p.320)

わたしのいうことを信じてくれないだろうか。もしも、わが青春をそそのかすものがなにかあったとしたら、それは、最近のあの企て〔宗教改革のこと〕に伴って、危険や困難を引き受けようという気持ちが、大きな役割をはたしていたかもしれなかったのだ。(p.333)

 イタリア旅行の際に、カトリック教会から『エセー』を検閲され、訂正の指示を受けた。そうしたことも、この章への後の書き込みは反映しているようである。
 引用した部分は、若かりし頃、モンテーニュプロテスタント側に心が揺れていたことを語ったものだろうか。