本の覚書

本と語学のはなし

2011-01-01から1年間の記事一覧

「アエネーイス」結婚

ille dies primus leti primusque malorum causa fuit. neque enim specie famave movetur nec iam furtivum Dido mediatur amorem ; coniugium vocat ; hoc praetexit nomine culpam. (4.169-172) しかしその日は死にいたる、最初の日でありさまざまの、 禍…

「青春は美わし」「アエネーイス」「イーリアス」Festina lente !

Im Walde schrie der Häher und reiften die Heidelbeeren, im Garten blühten Rosen und feurige Kapuziner, ich nahm teil daran, fand die Welt prächtig und wunderte mich, wie es sein würde, wenn auch ich einmal ein richtiger Mann und alt und ge…

「TIME」DSK

U.S. bosses are told they have gone too far when they compliment female employees on the color of their clothes or the style of their hair. In France such remarks are expected. French women, indeed, have traditionally colluded with the opp…

「居酒屋」ジェルヴェーズの没落

自分の店を失ったジェルヴェーズは、今、薄い仕切りを隔てて、葬儀人夫バズージュの隣に住んでいる。死の妄想にとりつかれ、ある夜、とうとう思い余ってその薄い壁を叩き、バズージュに呼びかけた。 Alor ce fut un vrai coup de bâton sur ses reins, le tr…

「自負と偏見」中野好夫訳

すっかり日記をつけない癖がついてしまった。プライベートのなかに仕事が入り込んできているせいか、なかなか書く気になれない。 仕方ないので、『自負と偏見』から中野好夫訳のサンプルを書き抜いておく。原文は簡単だと言った割に、はかどっていないけど。…

「ジェルミナール」ジェルヴェーズ

「お払いばこになって俺が辛いと思うのは、おっかさんのためなんだ。」と一口のみこんでから、彼が言った。「おっかさんは仕合せじゃない。でおれァ時々百スー金貨を送っていたんだ。」 「して、何処においでなの、おっかさんは?」 「パリだ……。洗濯婦して…

「ジェルミナール」始めました

ゾラの『ジェルミナール』(全3冊、岩波文庫)を読み始めた。主人公はエティエンヌ。『居酒屋』の主人公、ジェルヴェーズの息子である。 昔から、本を読まない時、私の精神はほとんど活動しなかった。まとまった量の活字を読むことはどうしても必要だ。連休…

「自負と偏見」始めました

現状ではフォークナーの『アブサロム、アブサロム!』を読み続けるのは難しいだろうと判断し、いったん中断して、オースティンの『自負と偏見』を読むことにした(ペンギン・ポピュラー・クラシックス版)。 長いことは長いけど、文章は簡単そうだ。新潮文庫…

「帚木」例の女以降

この人亡せて後、いかがはせむ、あはれながらも過ぎぬるはかひなくて、しばしばまかり馴るるにはすこしまばゆく、艶に好ましきことは目につかぬところあるに、うち頼むべくは見えず、かれがれにのみ見せはべるほどに、忍びて心かはせる人ぞありけらし。(「…

「居酒屋」葬儀人夫

Elle l’écoutait, se reculait, avec la peur qu’il ne la saisît de ses grandes mains sales, pour l’emporter dans sa boîte. Déjà une fois, le soir de ses noces, il lui avait dit en connaître des femmes, qui le remercieraient, s’il montait les…

「アブサロム」サトペンの結婚

忙しく慌ただしい最初の1週間は過ぎたけど、まだ気は抜けない。 古典はしばらく休止する。それほど好きではないのかもしれない。数学は使い慣れたマセマの参考書に戻す。高校生に数学を教えることはないだろうけど、一応内容を知っている方がいい。あとは歴…

「帚木」指を噛む

今週を乗り切ればほっと息をつける。今月を乗り切れば後はずいぶんなだらかな道になるだろう。 塾も学校も最初は印象が悪かったけど、段々と慣れてきた。いずれ私ももうちょっと講師らしくなるだろう。 塾と学校を合わせても、年間の収支は赤字になるかもし…

なんだか忙しい

昨日で塾の春期講習が終わった。目的語も形容詞も副詞も知らない高校新入生に5文型を教えるのは思いの外大変だった。最後のアンケートでは授業がつまらないとか書かれてるんじゃないかと思う。 中学生とは最後まで一緒になってはしゃぐことはなかったけれど…

もうひとつのアルバイト

某学校の非常勤講師の仕事を受けることにした。週2回、学校と塾を掛け持ちすることになる。 塾の場合同様、生徒対応が問題だ。しかも、塾とは全く異なる性質のものが求められる。私の性格からすれば、塾生と一緒にはしゃぐよりこちらの方が向いているかもし…

講習と紹介

一昨日に春期講習が始まった。いよいよ非常勤講師デビュー。 午後の部で高校新1年生に英語を教え、夜間の部で中学生に英語や国語を教える。まだいい授業とは言えないかもしれないけど、感覚はつかめてきた。 問題は授業というより生徒対応だ。特に中学生。ベ…

「イーリアス1」3行30分

天邪鬼なのか、優先順位を決めたとたんに破りたくなる。『イーリアス』1巻を3行読んだ。107行目はどういうことなのかと考えていたら、30分も経ってしまった。 αἰεί τοι τὰ κάκ΄ ἐστὶ φίλα φρεσὶ μαντεύεσθαι, (1.107) ever is evil dear to thy heart to pro…

優先順位

明日と明後日に最後の研修と打合せがあって、26日から春期講習が始まる。それが終わると、ほんの少し休みがあって、多分また研修と打合せがあって、新学年の新学期が始まる。 特別な講習の時期でなければフル稼働はしないのだけど、優先順位は決めておかなく…

「青春は美わし」なんとなくドイツ語

Und ich, der ich fremd geworden und an ein unstetes und vielfältiges Erleben gewöhnt war, paßte nun wieder da hinein, als wäre ich nie fort gewesen, nahm Interesse an Menschen und Sachen, die ich jahrelang durchaus vergessen gehabt hatte, …

「帚木」耳はさみ

また、まめまめしき筋を立てて、耳はさみがちに、美相びそうなき家刀自とうじの、ひとへにうちとけたる後見うしろみばかりをして(帚木5) そうかといって、家事一点張りで、額髪ひたいがみを耳挟みがちにして、美しげのかけらもない世話女房が、ただひたす…

近況メモ

こんな時に私の近況なんか報告する必要もないのだけど、自分用に箇条書きでメモしておく。 ・私の住んでいる地域ではごく普通の日常が送られている。 ・計画停電は今のところ全て中止。中止の理由には書かれてないけど、今電気を止めると寒すぎて危険だとい…

『フィッツジェラルド短篇集』

●『フィッツジェラルド短篇集』(佐伯泰樹編訳、岩波文庫) 「リッツ・ホテルほどもある超特大のダイヤモンド」「メイ・デイ」「冬の夢」「バビロン再訪」「狂った日曜日」を収録。 一番好きなのは「メイ・デイ」。「狂った日曜日」みたいなハリウッドものは…

「万葉集巻第二」藤原鎌足

地震が起きた時は塾のビルの中にいた。危険を感じるほどの揺れではないが、不気味に長かった。今日は公立高校の合格発表があったので生徒らが大勢報告に来ていたけど、パニックにはならずに済んだ。 みなさんのご無事をお祈りします。 95 我あれはもや 安見…

研修中

月曜日から塾の研修を受けている。春期講習のテキストを使って模擬授業をする。1人で練習し、社員の前でやってみせる。だいぶ形にはなってきたが、他の講師に較べればテンションはかなり低めだろう。 大きめの塾なので、授業内容を統一するために、各授業ご…

塾とMP3

昨日は久々に塾に行ってきた。中学生クラス授業の部門の担当者と顔合わせ。その後、国語の授業を見学する。明日から研修が始まり、授業準備ノートの取り方や授業の進め方の指導を受ける。先ずはこの塾の型通りに授業ができるようにならなくてはならない。講…

「居酒屋」皮肉?

Quand j’aurai besoin de la mort, je vous l’enverrai chercher. (p.334) 近ごろは、とんと音沙汰ないじゃありませんか (p.377) 文字通りには「死が入用になったら、あなたに探しに行ってもらうわ」となると思うが、訳文は大分違ったことを言っている。直後…

『現代詩作マニュアル』

●野村喜和夫『現代詩作マニュアル 詩の森に踏み込むために』(思潮社) やや中途半端な入門書という感じもするが、戦後の日本の詩を概観し、詩のたたずまいについて多少の予感を与え、ミニ・アンソロジーと言えるくらいには引用も豊富である。最初の1冊とし…

『黒猫・モルグ街の殺人事件 他五篇』

●ポオ『黒猫・モルグ街の殺人事件 他五篇』(中野好夫訳、岩波文庫) 前回に引き続きポオ。*1「黒猫」「ウィリアム・ウィルソン」「裏切る心臓」「天邪鬼」「モルグ街の殺人事件」「マリ・ロジェエの迷宮事件」「盗まれた手紙」を収録する。全部1度は読んだ…

購入

★野村喜和夫『現代詩作マニュアル 詩の森に踏み込むために』(思潮社) ★手帳「2011年度版 商品№884 フェルテ」(高橋書店) 現代詩には全く馴染みがないので、歴史、原理、詩学キーワードという章立てで全体像を示してくれる入門書を買ってみた。タイトルか…

『黄金虫・アッシャー家の崩壊 他九篇』

●ポオ『黄金虫・アッシャー家の崩壊 他九篇』(八木敏雄訳、岩波文庫) 「黄金虫」は中学の時に新潮文庫で読んだ記憶がある。数字と記号の羅列からなる暗号を英文に置き換えていく謎解きに力点があるので、当時は分かったような分からないようなもやもやした…

桐壺「藤壺」

源氏の君は、御あたり去りたまはぬを、ましてしげく渡らせたまふ御方はえ恥ぢあへたまはず、いづれの御方も、我人に劣らむと思ひいたるやはある、とりどりにいとめでたけれど、うちおとなびたまへるに、いと若ううつくしげにて、切(せち)に隠れたまへど、…