●ワイルド『サロメ』(福田恆存訳、岩波文庫)
平野啓一郎の新訳が出て、舞台化もされるというが、私が読んだのは福田恆存の古い訳。ビアズレーの挿絵付き。福田はスペクタクル的官能美の表現を否定し、あくまでせりふ中心の運命劇だとするが、ひたすら耽美的なこの戯曲が、果たして舞台で見て面白いのかどうか想像がつかない。
サロメはもちろん新約聖書に出てくる物語であるが、ワイルドが傾倒していたフローベールの短篇集『三つの物語』中の「ヘロディアス」にも想を得たと言われている。
ちなみに、あまり関係はないが、『ボヴァリー夫人』の中に、夫人とレオンがルーアンの大聖堂で待ち合わせをするシーンがある。
Le Suisse, alors, se tenait sur le seuil, au milieu du portail à gauche, au-dessous de la Mariamne dansant, plumet en tête, rapière au mollet, canne au poing, plus majestueux qu’un cardinal et reluisant comme un saint ciboire. (p.321)
ちょうど堂守が左手の扉の真中、『マリアンヌの踊り』の下、閾のところに立っていた。羽根飾りを頭にいただき、脹脛(ふくらはぎ)までとどく長剣を帯び、杖を握ったところは、大僧正よりもいかめしく、まるで聖体器のように光かがやいて見えた。(下p.117)
マリアンヌは幼児殺しのヘロデ大王の妻で、後にヘロデに殺される。しかし、ルーアンの大聖堂にあるのは、実際には踊るサロメのようだ。ヘロデ大王の子、ヘロデ・アンティパスは、異母兄の妻ヘロディアスを娶るが(そのことで洗者ヨハネに責められる)、その連れ子がサロメである。
意外なことに、フローベールのイタリア旅行ノートの中には、マリアンヌとヘロディアスを混同しているところもあるという。
昨日見つけた求人は、今日すでに消えていた。
毎月月初めに求人が集中する。7月上旬までは、よほどよい求人がない限り慎重に眺めていてもよい。そこでだめなら、工場の夜勤でも仕方ない。
- 作者:ワイルド
- 発売日: 2000/05/16
- メディア: 文庫