本の覚書

本と語学のはなし

【モンテーニュ】雄弁が栄えたのは内戦の嵐に揺さぶられていた時期であった【エセー1.51】


 モンテーニュ『エセー』第1巻第51章「ことばの空しさについて」を読了する。

L'eloquence a fleury le plus à Rome. lors que les affaires ont esté en plus mauvais estat, et que l'orage des guerres civiles les agitoit: (p.306)

雄弁が、ローマでもっとも栄えたのは、政情がひどい状態で、内戦の嵐に揺さぶられていた時期であった。(p.305)

 ローマの最良の時代には、むしろ雄弁術に対して、多少の蔑みすらあった。宮下は「帝国絶頂期」と訳しているが、モンテーニュが例を挙げているのは、帝国以前の話である。
 また一人の君主が統治するところでも、雄弁の必要はなくなる。