本の覚書

本と語学のはなし

坂の上の雲(六)/司馬遼太郎


 バルチック艦隊は相変わらずアフリカ辺りで停滞し、やっとインド洋向かおうとするところ。陸戦の方は黒溝台の激戦が終わり、乃木軍は陥落せしめた旅順から北進し、奉天開戦も間近というところ。私の読書も遅々として進まない。
 一番面白いのは「大諜報」と題された章。日露戦争満州の一地域だけで行われていたわけではない。ヨーロッパにおいては、たとえば明石元二郎という大佐があって、あらゆる革命勢力と連絡を取り、資金援助をしながら、ロシア帝政の根幹に大いなる揺さぶりをかけていた。
 世界史の中から見なくては、この戦争を見誤ってしまうだろう。


 今月の司馬遼太郎は、わずかに二冊を読んだだけで終わった。

新装版 坂の上の雲 (6) (文春文庫)

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