本の覚書

本と語学のはなし

2015-01-01から1年間の記事一覧

ふうらい姉妹 第1巻/長崎ライチ

ふうらい姉妹 第1巻 (ビームコミックス)作者:長崎 ライチ発売日: 2010/11/15メディア: コミック 長崎ライチは、長崎県在住の姉妹ユニット。 『ふうらい姉妹』は少女マンガ風のギャグマンガ。 内容はアマゾンの「なか見!検索」から一部見ることもできるし、…

購入8-1 古文と基督教と漫画

古文 新版 枕草子 上巻 現代語訳付き (角川ソフィア文庫 (SP32))作者:清少納言発売日: 1979/08/22メディア: 文庫新版 枕草子 下巻 現代語訳付き (角川ソフィア文庫 (SP33))作者:清少納言発売日: 1980/04/15メディア: 文庫新版 徒然草 現代語訳付き (角川ソフ…

恥辱/J. M. クッツェー

恥辱 (ハヤカワepi文庫)作者:J.M. クッツェー発売日: 2007/07/01メディア: 文庫 舞台は南アフリカ。学生と関係を持った大学教授がセクハラで告発され(それはどう見てもセクハラでしかない)、まともに抗弁もしないまま教職を追われて、しばらく一人娘の農園…

歎異抄/金子大栄校注

歎異抄 (岩波文庫 青318-2)作者:金子 大栄メディア: 文庫 親鸞の言葉を実際に聞いた弟子の唯円が、前半で「耳の底に留まるところ」の語録を書き記し、後半で現今親鸞の意図と異なった教えの行われていることを歎いた短い書。 最近ご無沙汰してはいたが、何度…

方丈記/市古貞次校注

方丈記 (岩波文庫)作者:鴨 長明発売日: 1989/05/16メディア: 文庫 短いのですぐに読み終わるが、必ずしも簡単というわけではない。 その家のありさま、世の常にも似ず、広さはわづかに方丈、高さは七尺がうち也。所を思ひ定めざるが故に、地を占めて作らず。…

万葉の人びと/犬養孝

万葉の人びと (新潮文庫)作者:犬養 孝発売日: 1981/12/25メディア: 文庫 NHKでの放送をそのまま文字に起こしたものだそうで、だいたい入門講座としてはどこでも同じようなことを喋っているのだろうから、『万葉のいぶき』と被る点は多いのだけど、『万葉の人…

更級日記/秋山虔校注

更級日記 新潮日本古典集成 第39回作者:菅原孝標女,虔, 秋山メディア: 単行本 最初に少女時代の過剰な物語愛が語られるが、物語のようなことは実生活では何も起こらず、やがてそれへの傾倒は「よしなしごと」であったと悔やまれる。信心深くなったのか、しば…

振り返る7月

▼今月も短歌の目に参加した。 ▼字余り、字足らず、句跨りなどの破調を一切排除して、五七五七七の三十一文字でよむという基本に徹してみた。ただ、振り仮名に括弧をつけたり、枕詞の用法を拡大したりという点で、少しばかり常道を逸脱してしまった。 ▼これま…

聖書外典偽典7 新約聖書Ⅱ/日本聖書学研究所編

聖書外典偽典 (7) 新約外典 2メディア: 単行本 「ペテロ行伝」「パウロ行伝」「ヨハネ行伝」「アンデレ行伝」「トマス行伝」を収録する。だいたい二世紀から三世紀頃に書かれたもののようである。 読んですぐに気が付くのは、甚だしい禁欲主義である。恋人と…

1週間でマスター 小説を書くための基礎メソッド 小説のメソッド〈初級編〉/奈良裕明

1週間でマスター 小説を書くための基礎メソッド―小説のメソッド 初級編作者:奈良 裕明発売日: 2003/04/01メディア: 単行本 この本の一番の特徴は、ハコガキなるものでプロットを作ってみようという提案である。まずハガキより少し小さめのメモ用紙の束を用意…

旧約聖書Ⅶ イザヤ書/旧約聖書翻訳委員会訳

旧約聖書〈7〉イザヤ書発売日: 1997/05/08メディア: 単行本 彼には威容なく、 またわれらの見るべき輝きもなく、 またわれらの慕うような美貌もなかった。 彼は蔑まれ、人々に見捨てられ、 苦しみの人、病に狎れた者であった。 顔を背けられる者のように蔑ま…

R62号の発明・鉛の卵/安部公房

R62号の発明・鉛の卵 (新潮文庫)作者:公房, 安部発売日: 1974/08/27メディア: 文庫 『壁』の後、まだ長編作家として大成する前に書かれた短編を12編収録する。 渡辺広士は解説の中で、これらの作品から読み取れる安部流の仕掛けを4つ挙げている。長いが全部…

パウロ書簡を読む

新約聖書 訳と註〈3〉パウロ書簡(その1)作者:田川 建三発売日: 2007/07/01メディア: 単行本 Παῦλος καὶ Σιλουανὸς καὶ Τιμόθεος τῇ ἐκκλησίᾳ Θεσσαλονικέων ἐν θεῷ πατρὶ καὶ Ἰησοῦ Χριστῷ, χάρις ὑμῖν καὶ εἰρήνη. (1Thes1.1) マタイとマルコを終えたので、…

購入7-2 小説メソッド

1週間でマスター 小説を書くための基礎メソッド―小説のメソッド 初級編作者:奈良 裕明発売日: 2003/04/01メディア: 単行本 このシリーズは以前三冊全部読んだのだけど、古本屋に売り払ってしまったから、初級編だけ買い直した。 細々とでも小説を書き続けら…

新約聖書 訳と註1 マルコ福音書・マタイ福音書/田川建三訳著

新約聖書 訳と註 1 マルコ福音書/マタイ福音書作者:田川建三発売日: 2008/07/04メディア: 単行本 ようやくマルコ福音書が終わった。原典講読が思いの外はかどらない理由の一つは、田川の訳注を丁寧に読んでいるせいだけど(最近はそれにプラスして佐藤研編訳…

購入7-1 キリスト教回帰

キリスト教回帰というのは、キリスト教徒への回帰ではない。購入する本に占めるキリスト教関連の比重を以前の水準まで引き戻すということであり、必然的にキリスト教について学ぶ時間が圧倒的に増えるということである。 短歌の季節は過ぎ去ったが、小説はま…

図説 聖書考古学 旧約篇/杉本智俊

図説 聖書考古学 旧約篇 (ふくろうの本)作者:杉本 智俊発売日: 2008/03/01メディア: 単行本 考古学は聖書の記述が真実であるか否かを証明するものというよりは、その歴史的背景を明らかにする学問である。発掘されたものから聖書の記述をどう評価するかは、…

【第0回~第5回】短歌の目 自選10首

短歌は今月で一区切りつけようと考えておりまして、その記念に、今まで作った60首の短歌の中から10首選んでみました。最初の頃に作った歌は見るのも恥ずかしいですね。 今踏ん張れば短歌は一生の趣味となるのかもしれませんが、どうも私には堪え性がないよう…

【第五回】短歌の目 九選

短歌の良し悪しを見分ける力はありませんので、他人の歌を選ぶなどという僭越な試みはこれを最初で最後にします。何卒ご容赦ください。 選歌の基準は単純です。来月もし短歌の目に参加するとしたら、こんな歌を詠んでみたい。そういう憧れの歌です。他にも優…

短歌研究/2015年7月号

短歌研究 2015年 07 月号 [雑誌]発売日: 2015/06/20メディア: 雑誌 「短歌研究」7月号に目を通した。 文章はまあ面白く読んだ。結社誌へのアンケート結果をもとに時評を考えるという特集では、結社の内情を垣間見ることができた。高齢化、世代間の短歌観の相…

万葉のいぶき/犬養孝

万葉のいぶき (新潮文庫)作者:犬養 孝発売日: 1983/06/25メディア: 文庫 なぜわざわざ絶版になっている犬養孝なのかと言えば、中学の時に初めて万葉に触れたのが犬養の本だったからだ。 たぶん最初に読んだのは『万葉の人びと』である。当時私は古典文法なん…

ト音はゲーでジーはガンマで 振り返り

長くなりそうなので、二首だけ振り返ってみます。 1. 手帳 空(むな)手帳てちょう T 女照る日をΓ(かっこ)閉じ ト音は g ゲー で g ジー は γガンマ で 最初に断わっておきますが、括弧内の振り仮名は作者の提案する読みであって、確定ではありません。好…

ト音はゲーでジーはガンマで ―【第5回】短歌の目―

今回「手帳」と「花火」のお題を出させてもらいました。 手帳は年末(年度末)や新年(新年度)と関係のない今、あえて詠んでみてもいいのではないかと思いました。しかし、自分でリクエストしておきながらなんですが、とても作りにくかったです。訳の分から…

振り返る6月

【読書】 ▼短歌のアンソロジーをぽつぽつと。万葉集は犬養孝の入門書に寄り道。どうなるか分からないけど、漢詩を再開してみた。 ▼和書はキリスト教中心に戻していく。 ▼アラム語文法を復活させた。アウグスティヌスのラテン語はやったりやめたりだが、復活…

詩のたのしさ/嶋岡晨

詩のたのしさ (講談社現代新書 484)作者:嶋岡 晨メディア: 新書 作るという観点から読む。 詩は私の考えていた以上に思想を盛る器であるのではないか、というのが一番の発見であった。そして、そうでなくてはならないだろうと思う。私は抒情的なものを長々と…

イエス/R. ブルトマン

イエス作者:ブルトマン,R.発売日: 1963/01/01メディア: 単行本 イエスの伝記のようなものは一切なくて、そもそもそういうものの不可能性から出発している本である。 ブルトマンはマールブルクでハイデガーの同僚であった人で、共同の演習をしたこともあるそ…

短歌レトリック入門/加藤治郎

短歌レトリック入門―修辞の旅人作者:加藤 治郎メディア: 単行本 前半は短歌で使われるレトリックの説明。写実の時代の終焉とともに、レトリックは復権を果たした。現在は修辞の花盛りであるようだ。 伝統的なものでも現代短歌の中での使われ方は必ずしも伝統…

購入6-3 短歌誌

短歌研究 2015年 07 月号 [雑誌]発売日: 2015/06/20メディア: 雑誌 普通に入手可能な短歌の雑誌というと、「NHK短歌」「短歌」「短歌研究」「歌壇」「現代短歌」とあるようで、それぞれ一度は手にしてみたいと思っている。 「NHK短歌」と「短歌」は以前購入…

ヴェルレーヌ詩集/堀口大學訳

ヴェルレーヌ詩集 (新潮文庫)作者:ヴェルレーヌ発売日: 1950/11/28メディア: 文庫 いつも思うのだが、堀口大學の訳が好きでない。日本語として、文法的に、語法的に正しいのだろうかと不審のところもあるが、それよりも、なんか俗謡っぽくなるんだなあ。 た…

「物語」のつくり方入門 7つのレッスン/円山夢久

「物語」のつくり方入門 7つのレッスン作者:円山夢久発売日: 2012/05/31メディア: 単行本(ソフトカバー) 今日届いたのだが、あっという間に読み終わってしまった。エンターテインメント系の物語を書きたい人のための入門書。 確かにこれを読めば、物語の構…