- 作者:J.M. クッツェー
- 発売日: 2007/07/01
- メディア: 文庫
その娘が細々経営する農園があるのは「アフリカ人」と「アフリカーナー」などの白人の混淆の土地であり、アパルトヘイト以降の南アフリカの力のバランスの変化が、如実に表れる土地でもあった。二人は襲われる。父は火をつけられ、娘は強姦される。
しかし、娘はその土地にこだわり、かつては助手であり共同経営者であった隣家の男の三番目の妻となって、彼の庇護に入ることすら受け入れようとする。二人を襲った三人組の一人は、彼の妻の一人の弟であるらしく、事件後しばらくして、彼のもとで生活し始めているようなのだが。
父はその土地で、動物に寄り添いつつこれを殺処分する女性のもとで、彼女と関係を持ちつつ、死体の処理に従事する。
感想はうまく書けない。面白く読んだが、何が面白いのかよく分からない。主人公の大学教授にも、その娘にも、特別に肩入れしたくはならない。
南アフリカってこういうものなんだろうかという、世界の少し広がっていく感じ。それが魅力の一つであることは確からしい。