本の覚書

本と語学のはなし

変態的ボヴァリー夫人

 Pendant qu’elle le considérait, goûtant ainsi dans son irritation une sorte de volupté dépravée, Léon s’avança d’un pas. (p.161)

 彼女がこうして、腹立たしさのなかに一種の変態的な快感を味わないながら夫をじっと見ているあいだに、レオンが一歩進み寄った。(『ボヴァリー夫人』上p.123)


 「変態的」が少し面白かったので、書き抜いてみた。実際には夫の凡庸さを認める意地の悪い喜びという程度のことで、「変態的」ではかわいそうだ。翻訳当時と現在とでは「変態的」の語感がだいぶ違うのかもしれないが、今ならせいぜい「ゆがんだ」くらいではないだろうか。
 ふだんは小学館の『ロベール仏和大辞典』が入った電子辞書を使っているが、このところ白水社の『仏和大辞典』もわざわざ引いてみることがある。辞書は一つに偏らない方がいい。


 ハローワークでK会の紹介状を貰った。面接の日時まで決まった。ぐずぐずしている間に、既に3人応募し面接も済ませていると言う。今日ハローワークに行かなかったら、間に合わなかったかもしれない。しかし、いずれも必須とされる経験が欠如しているものと思われる。私がその経験に一番近いところにいるので、面接してもらえることになったに違いない。
 問題はある。7月までは塾の仕事があるから、出勤できない曜日もあれば、退勤後すぐに塾に向かう曜日もある。また、事業のために創設された会なので、いつまでも存在し続ける訳ではない。事務局は1人だけで気楽かもしれないが、誰にも相談できない。収入は十分とは言い難い。
 決まってほしいような、ほしくないような。

仏和大辞典

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