本の覚書

本と語学のはなし

額田王


 『万葉集』の2巻が途中になっていたので、再開する。天武天皇の子・弓削皇子額田王の間に歌のやり取りがある。青年が老女に、亡き父への愛を確かめるかのような歌である。

111 古に 恋ふる鳥かも ゆづるはの 御井の上より 鳴き渡り行く  弓削皇子
(亡き父帝を 慕う鳥でしょうか ゆずりはの 御井の上から 鳴いて飛んで行くのは)

112 古に 恋ふらむ鳥は ほととぎす けだしや鳴きし 我(あ)が思へるごと  額田王
(亡き人を 慕うという鳥とは ほととぎすです おそらく鳴いたことでしょう わたしがお慕いしているように)


 金曜日にK会の面接に行ってきた。これほど気楽な面接もない。役所で土木の仕事をしていたことがあるというだけで、仕事を遂行する能力は完全に証明されていたようである。私がその場で断りさえしなければ、私に決まっていたかもしれない。
 第一の問題は、求人票に書かれた就業場所と実際のそれとが全く違うこと。夏場であれば自転車で通えないことはないし、退勤後そこから塾へ向かうのも何とかなるだろうが、冬場は車がなくてはどうにもならない。しかし、車を購入し維持していくのに十分な収入は得られそうにない。
 第二の問題は、5年程度で事業が終了し、再び無職になることが確定していること。今でさえ仕事探しは困難を極めているのに、5年後の就職活動に楽観的な見通しを持つことなどできるわけがない。
 断りはしたのだが、よく理解できなかったのか、土曜日の理事会で最終選考を行い、その結果を月曜日(今日)電話連絡するとのことだった。しかし、電話は来なかった。また明日からハローワークの求人票を眺める日々が続く。