本の覚書

本と語学のはなし

真字『正法眼蔵』


 第80則。禅の目標は悟ることだと考えられているが、実のところ悟りに安住していてはいけない。しかし、悟りを捨て去ったところに捉われるのはさらに危険である。ちなみに、ここに登場する趙州は「放下著」と言った人でもある。

【読】趙州、衆に示して云く、「有仏の処に住することを得ざれ、無仏の処も急ぎ走り過ぎよ」。
【訳】趙州従諗は大衆に示した、「仏のところにも住(とど)まってはいけない。仏でないところをも急いで走り過ぎなさい。(『全集14』145頁)