本の覚書

本と語学のはなし

Revenge of the Lawn


 リチャード・ブローティガン『芝生の復讐』より、「万聖節の宵祭は船で行く海原」の原文と藤本和子訳(新潮文庫)。

As a child I used to play at Hallowe’en as if I were a sailor and go trick or treating down to the sea in ships. (p.62)

 子供のとき、万聖節の宵祭には、わたしはまるでじぶんが船で海へでて行く船乗りみたいに「なんぞおくれ」をやったのだった。(112頁)


 「万聖節の宵祭」とか「なんぞおくれ」という訳に時代を感じる。
 ジュンパ・ラヒリ『停電の夜に』に収められた「ピルザダさんが食事に来たころ」の小川高義訳(新潮文庫)では、同じ語を含む文章を次のように訳している。

 ハロウィーンの日、わたしは魔女になった。いっしょに「お菓子くれないといたずらするぞ」に出かけるドーラも、やはり魔女だった。(63頁)


 いずれは「お菓子くれないといたずらするぞ」も「トリック・オア・トリート」と訳されるようになるのかもしれない。