本の覚書

本と語学のはなし

Bel-Ami


 モーパッサン『ベラミ』の原文と杉捷夫訳。

 Il admettait parfaitement que Forestier n’eût rien été sans Madeleine ; mais quant à lui, allons donc ! (p.246)

 マドレーヌがいなかったなら、フォレスチエなんかゼロだったろうということは、それは彼も完全に認める。だが、自分自身はどうかといえば、さあ、さあ、さあ! というところだ!(下60頁)


 残念ながら翻訳の意味するところがよく分からない。〈Allons donc !〉というのは、辞書によれば、不信を表明して「まさか、ばかな」の意味だという。
 フォレスチエ亡きあと未亡人マドレーヌと結婚したデュロワが、自分はフォレスチエとは違うと考える場面である。辞書の意味そのままで問題ないところだと思う。