本の覚書

本と語学のはなし

【ギリシア語】友人の影をもつだけで【多くの友】

 今日からギリシア語原典講読は、プルタルコスの『多くの友をもつことについて』を始める。
 多くの友をもつことがよいことだと言うのではない。数がものを言うのではない。真の友情が大切なのである。そして、真の友情のためには、多くの友をもつことが支障となることもあるだろう。


καίτοι τόν γε παρὰ τῷ Μενάνδρῳ νεανίσκον ὑπερφυῶς ἐπαινοῦμεν εἰπόντα θαυμαστὸν ὅσον νομίζειν
   ἀγαθὸν ἕκαστον, ἂν ἔχῃ φίλου σκιάν. (93C)

とはいえ、メナンドロスの劇中のある若者が、


   友人の影をもつだけで、誰もが驚くほどの良いこと


とみなすと述べているが、その若者をわれわれも格別に賞賛しよう。(p.26)

 だんだんとプルタルコスが楽しくなってきた。
 今日読んだ短い範囲だけでも、エンペドクレス、プラトン、メナンドロスの引用があり、神話への言及もある。
 結論だけ見ると常識的な、健全な判断の域を出ないかもしれないが、まあそれはそれで楽しいものだろうけど、論を進める過程にこそプルタルコスの魅力はあるようである。