本の覚書

本と語学のはなし

【ギリシア語】重しの石をいくつも投げ込み【イリアス1】

 『イリアス』第1歌第436-439行。

ἐκ δ᾽ εὐνὰς ἔβαλον, κατὰ δὲ πρυμνήσι᾽ ἔδησαν·
ἐκ δὲ καὶ αὐτοὶ βαῖνον ἐπὶ ῥηγμῖνι θαλάσσης,
ἐκ δ᾽ ἑκατόμβην βῆσαν ἑκηβόλῳ Ἀπόλλωνι·
ἐκ δὲ Χρυσηῒς νηὸς βῆ ποντοπόροιο.

それから重しの石をいくつも投げ込み、ともづなを固くゆわえつけてから、今度はみなみな乗船員自身が、海の波打ち際へと降り立って、遠矢を射るアポローン神への大贄の牛を降ろせば、クリューセーイスも大海を渡ってゆく船から外へと降り立った。

 4行続けてek de (d’)から始まっている。叙事詩は繰り返しを恐れないとは言え、これは珍しいのかもしれないと思い、書き抜いておく。
 ekは「~から」という意味で、前置詞としても使われるが、ここでは副詞として、ドイツ語の分離動詞の前綴りのような働きをしている。
 動詞は2行目から4行目まで、同じもの。bainonもbēsanもbēも、辞書で引く形はbainōである。意味は「歩く、行く」であるが、ここでは船から降りることを言っている。ただし、3行目はcausativeな用法であって、牛をして降りて行かしめる、つまり牛を降ろすということである。
 アポロンの神官であるクリュセスの娘(クリュセイス)をアガメムノンが奪ったことで、ギリシア方は疫病に襲われた。アポロンに生け贄を捧げ、クリュセスにはクリュセイスを返すべく、オデュッセウスが船に乗ってクリュセへとやって来たのである。
 戦闘の時には船を岸に引き上げるが、ここでは長居をするわけではない。艫を岸に向け、舳先から碇を下ろし、とも綱で固定する。


 5日、雇用保険の説明会に行ってきた。
 来週直ぐに失業認定日がやってくる。認定日までに就職活動を最低2回しなくてはならないのだが、初回に関しては、雇用保険の申請と説明会とで2回とカウントされるので、特に何もしなくても大丈夫である。
 自己都合での退職なので、お金が入るのは2か月(以上)先である。ただし、就職が決まれば、残日数に応じて残額の6割もしくは7割がもらえる(私が今すぐに就職すれば、満額の7割である)。最初の1か月はハローワークの紹介でなくてはならない等、いくつか条件があるので要注意である。
 せっかくなので職業訓練を受けてみたいという気もする。受講料は無料である(テキスト代は自己負担)。プログラマー養成科というのが面白そうだ。6か月も通わなくてはならないのが難点ではあるが。
 3か月ならば、医療事務がある。保険が入るのは120日間であるから、日数としてはちょうどよい。おそらく周りは女性だらけで、居心地が悪そうではあるが。
 まあ、説明会に行くだけでも就職活動の一環として認められるから(他にも単発のセミナーなど、いろいろ救済手段のようなものが用意されている)、聞くだけ聞いてみようかと思っている。