וְעַתָּ֥ה בְנִ֖י שְׁמַ֣ע בְּקֹלִ֑י וְק֧וּם בְּרַח־לְךָ֛ אֶל־לָבָ֥ן אָחִ֖י חָרָֽנָה׃
さあ、わたしの子よ、わたしの言うことを聞いて、 ハランのわたしの兄ラバンのもとに逃げなさい。
リベカは次男ヤコブに長男エサウから逃げることを勧める。長子権を奪われ、父イサクの祝福をも奪われたエサウは、イサクが死んだらヤコブを亡き者にしようと企んでいたからである。
ヤコブは後にイスラエルという名を与えられた人で、その息子たちはイスラエル12部族の始祖である。エサウは南パレスチナのエドム人の祖先となった。聖書での主役の座はヤコブの系統にある。
しかし、聖書の主役たちはしばしば逃げる。最も壮大な逃走劇はモーセの出エジプトである。ダビデはサウルから逃げ、謀反を起こした息子からも逃げた。ヨナは神から逃げた。ヨセフとマリアは幼子イエスを連れてエジプトに逃げた。イエス自身、石打ちにされそうになって逃げた。イエスが逮捕された後、弟子たちは逃げた。そして、ペトロは3度イエスを知らないと言った。
逃げることには、それぞれ何か偉大な知恵が隠されているようである。
フランシスコ会訳聖書を1年で通読するつもりであったが、試しにしばらくヘブライ語聖書とギリシア語聖書の原典講読をするだけにしてみる。
聖書だけではない。原語で直接読むつもりのものは、翻訳で一度全体像を把握したら、あとは原文に集中する。分量がそれ程多くないものばかり選んであるから、できれば1年から2年くらいで一通り読み終えたい。
ちょっと難しいだろうか。中でも一番厳しいのは、旧約聖書である。
試してみて、あまりに原典講読のペースが遅すぎると感じたら、また翻訳の通読に頼るかも知れない。だが、その場合も聖書とモンテーニュに限ることにしたい。
翻訳で未読のものは、ウェルギリウス『アエネーイス』、ルクレティウス『事物の本性について』とモンテーニュ『書簡集』が残っているだけである。ウェルギリウスとルクレティウスは合本になっているものを読むから、あと2冊だ。