本の覚書

本と語学のはなし

Newton 2022年7月号【パズルで身につく数学的思考】

 Newtonの定期購読を申し込んだけど、開始は9月号から。次回まではAmazonで購入する。


 第一特集は「パズルで身につく数学的思考」。
 最小限の分銅でさまざまな重さを量るにはどうするか。たとえば1~50gを1g単位で測るには、どれだけの分銅が必要か。
 この問題は2進法と関わっている。2の累乗の分銅を1つずつ用意すれば、全ての数が表せるのだ。50gまでなら、20 g、21 g、22 g、23 g、24g、25 gの6つの分銅があれば足りる。
 49gを測るなら、25 g (32g)を1個、24g(16g)を1個、23g(8g)と22g(4g)と21g(2g)を0個、20g(1g)を1個用いる。これは49を2進法で表したときの110001に対応する。


 第二特集は「量子コンピューター2022」。
 ちょっと前まで量子コンピューターというのは、コンピューターに量子的な振る舞いをさせるものだと思っていたのだが、5月号の量子論の特集で、本当に量子の振る舞いを用いるのだということを知った。
 だが結局のところ、量子を使ってどうして計算ができるのか、肝心なところはよく分からない。そもそも私は、古典コンピューターの仕組みも知らないのだ。
 量子アルゴリズムなどを学ぶには、もっと詳しい本が必要だ。
 なお、IBM Quantumという無料サービスを利用すれば、我々でも本物の量子コンピューターを使うことが出来るそうだ。


 「AI創薬の最前線」。
 薬の開発はハイリスク・ハイリターンであると言われる。膨大な時間とお金を費やしても、必ずしもよい結果が出るとは限らない。
 しかし、AIを活用することで、臨床研究前までの探索研究と開発研究は、時間もコストも大幅に省くことが可能になる。
 患者が少なく採算が合わないということで開発が進まなかった病気にも、今後は優れた治療薬が誕生する可能性がある。


 「SF映画をもっと楽しもう!」。
 SFはこれまで映画でも小説やマンガやアニメでも、好んでみることはなかった。
 しかし、物理学の知見をどのように取り込んでいるかということに着目すれば、かなり楽しめそうに思う。
 『ガンダム』に出てくるスペースコロニーのモデルは、オニール・シリンダーと呼ばれるもので、1分50秒に1回転することで1Gの疑似重力(昨日たまたま見たテレビ番組では、人工重力という言い方をしていた)を作り出す。
 ワームホールが登場する作品の中では、『インターステラー』や『コンタクト』は特に科学的考証にこだわって作られているもので、お勧めのようである。


 「ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡」。
 ハッブル宇宙望遠鏡がそろそろその役目を終えようとする中、この夏から本格的に活動を開始するのがジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡である。
 ファーストスターの発見が最も重要なミッションである。およそ136億年前に誕生した最初の星は、宇宙の膨張によりはるか彼方に存在する。遠くの天体ほど速く遠ざかるため、その光もドップラー効果により波長が大きく引き伸ばされる。
 ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡は、パラメーターの大きな赤方偏移にも対応できるように、赤外線観察に特化して作られたのである。
 写真で見るとサンシールドはアルミ箔を巻き付けたかのような外観だし、ロケットに積み込むために幾重にも複雑に折りたたまれた様子はかなり危うさを感じてしまうのだが、今は無事展開し、ラグランジュ点L2に到着して、性能確認のために撮影した画像も送ってきている。
 ラグランジュ点L2は太陽と地球を結ぶ線上、外側に150万キロメートルのあたりのポイントである。重力的に安定して静止していられる5つの点の内の1つである。しかし、非常に遠いので、ハッブル宇宙望遠鏡のように故障しても修理に行くことは出来ない。