本の覚書

本と語学のはなし

宇宙論入門 誕生から未来へ/佐藤勝彦

 宇宙論の見取り図としてよくまとまっている。数式は出てこないから(例外はアインシュタイン重力場方程式くらい)、文系の人間でも安心して読むことが出来る。
 ただ、簡潔すぎて理解が追いつかないところもある。本やネットで知識の肉付けをしていかなくてはならない。
 宇宙はビッグバンから始まり、今も加速膨張を続けている。それは今や誰でも常識として知っていることだが、考えれば考えるほど分からない。超ひも理論(未完であり、批判もあるようだが)によれば、我々の宇宙は10次元もしくは11次元の時空に浮かぶ膜であり、無限に存在する膜宇宙(次元も物理法則も異なるかも知れない)の間にはほとんど交流の余地はない。ここまで来ると、ほとんど想像することすら難しい。
 宇宙は知れば知るほど謎が深まる。


 素人としては、宇宙論入門によって宇宙の物理学を簡単に学びつつ、技術と精度のアップした観測や探査のニュースを楽しむ、という位の姿勢でよい。