本の覚書

本と語学のはなし

冬物語/ウィリアム・シェイクスピア

 学生時代に読んだとき、シェイクスピアの中で一番好きかもしれないと思った記憶がある(今に至るまで全作品を読んでいるわけではないが)。
 ハーマイオニの復活とその再臨の仕方をどう評価するか難しいところであるが、ロマンス劇は意図的におとぎ話化された世界の中で、ゆるしと再生の融和的大団円を迎える、シェイクスピア晩年の境地なのであろうから、評価するしないはジャンルの好みの問題に行き着きそうだ。
 悲劇をたっぷり詰めこんでハートの目方をしっかりと重くしておいてから読むと、一層楽しめるだろうと思う。