本の覚書

本と語学のはなし

分別と多感/ジェイン・オースティン

分別と多感 (ちくま文庫)

分別と多感 (ちくま文庫)

 分別は姉のエリナー、多感は妹のマリアン。最初はオースティンもまだ若すぎたのではないかと思った。姉妹は恋に破れて対照的な典型的反応を示す。しかし、これを乗り越えて殊にマリアンは質的変容を起こしたようである。
 最後は憎まれ役も含めて誰もがそれぞれに幸福になるという都合のよい大団円を迎えるのだけれど、オースティンにあってはそれでよいのだろう。辛辣な人間観察を存分に楽しんだ後では、そうありたいものである。