本の覚書

本と語学のはなし

ガルガンチュア ガルガンチュアとパンタグリュエル1/フランソワ・ラブレー

 全5巻のシリーズの第1冊目である。しかし、書かれた順番から言えば、第2巻の『パンタグリュエル』の方が先。『ガルガンチュア大年代記』(ラブレーの作品ではないとされる)に触発されて、その息子の話を創作したものである。その後『大年代記』を上書きする「父親殺し」の試みとして、遡及的にガルガンチュアの物語に手を付けたようだ。


 ユマニストとしての思想的問題意識を反映しながらも、荒唐無稽で時には意味不明の滑稽譚が陳列されていて、これを本当に面白がることのできる人は限られるのではないだろうか。
 フランス語の専門としてモンテーニュに取り組むことは決めてある。どうせならラブレーと組み合わせて、16世紀の宗教改革宗教戦争の時代を掘り下げるべきではないか。こうした関心の元でなら、私もラブレーに親しめるかもしれない。
 しかし、原文は恐ろしく難しそうだ。モンテーニュの比ではないだろう。ラブレーよりもフローベールに力を入れる方が、私にとっては実りがあるのではないか。今でもまだ揺れている。