本の覚書

本と語学のはなし

エマ/ジェイン・オースティン

エマ (中公文庫)

エマ (中公文庫)

 小さな世界の中で、時折外からやってくる人間がさざ波を立てつつも、これと言って大きな事件もなく、階級意識恋愛模様と間違いの喜劇が長大な物語を支え、最後は予定調和のごとく収まるべきところに収まるだけなのだが、決して読んで飽きることはないのである。
 英語の専門としてジェイン・オースティンはどうだろうと思って読み始めた翻訳であったが、間違ってはいなかった。ストーリーだけに頼るものではないから、繰り返し読んでも楽しめるにちがいない。


 次は『分別と多感』。
 原典の方は中断しているので、翻訳を先に読んでしまうことになる。しかし、それで原書を再開するときの楽しみが減るとは考えない。再読に値する本であるならば、その時々に喜びがあり、うまくすればそれが更に深まるだろうと想像するのである。