本の覚書

本と語学のはなし

アトラス神

... iamque volans apicem et latera ardua cernit
Atlantis duri, caelum qui vertice fulcit,
Atlantis, cinctum adsidue cui nubibus atris
piniferum caput et vento pulsatur et imbri ; (4.246-249)

 さていま彼〔メルクリウス〕は飛びながら、人寄せつけぬアトラスの、
山の尖峰よこに見て、けわしい山腹下に見る。
峰で天を支え立つ、このアトラスの松生える、
その山頂は黒雲を、不断にまとい風とまた、
雨に常住さらされる。(『アエネーイス』上p.227)


 辞めたと書いたらまたぞろ始めたくなった。その代り歴史の参考書は中止する。流れは分かっているのだし、人に教えるわけでもないから、いつでも固有名詞がすらすら口から出るようにしておく必要もない。
 さて、山の描写であるが、アトラスは北アフリカの山の名前であると同時に、巨神の名前でもある。ウェルギリウスの筆は写実的でありながら、語の選択において同時に生身の神をも彷彿とさせる。日本語訳では後者が弱い。ロエーブの英訳の方がずっと感じが出ているのではないか。

And now in flight he descries the peak and steep sides of toiling Atlas, who props heaven on his peak―Atlas, whose pine-wreathed head is ever girt with black clouds, and beaten with wind and rain;


 昨日は塾の新年度会。この塾でしかアルバイトをしてない人に、それだけで生計が本当に成り立っているのか聞きたかったけど、そこまでは踏み込めない。