本の覚書

本と語学のはなし

『The Invention of Solitude』


●Paul Auster 『The Invention of Solitude』(Penguin Books)
 父の死をきっかけに書き始められた『孤独の発明』。はっきりした形を持つことなく、絞り出すように書かれた断片的な文章たち。詩人から散文作家への過渡期にあったからというだけでなく、ただそのようにしてしか書くことができなかったかのようだ。しかし、流れる物語とはならない辛吟の数々が、不思議と互いに共鳴し合っている。
 ポール・オースターの作品は『幽霊たち』*1しか知らないが、今後何を読もうとも、私にとっては『孤独の発明』が一番だろう。


 英語は平易で端正。私の読解力が向上しているせいもあるけど、これまでで一番翻訳を参照しなかった。したがって柴田元幸の翻訳技術をどうこう言うことはできないが、訳しにくいところはそれなりに、という印象。

The Invention of Solitude

The Invention of Solitude

  • 作者:Auster, Paul
  • 発売日: 2007/01/30
  • メディア: ペーパーバック
【参照】
孤独の発明 (新潮文庫)

孤独の発明 (新潮文庫)