本の覚書

本と語学のはなし

『田中雄二の漢文 早覚え速答法』


田中雄二田中雄二の漢文 早覚え速答法 [改訂版]』(Gakken)
 受験に特化した、効率よく学ぶための本。試験に出る句形と重要漢字だけで作った「考試之道」という暗記用漢文が便利だ。その中にある「考試問訓読、非問漢語(考試は訓読を問ひ、漢語を問ふに非ず)」という一文が面白い。中国語がべらぼうに達者で、漢文を北京語で発音し完璧に内容を理解する人といえども、伝統的な読み下しができなければ合格点は取れないのである。


 漢文の句形はほぼ頭に入っているし、高校時代は『論語』や『荘子』や漢詩を好んで読んでいたから、この本の程度は楽勝である。ということは受験生としてなら合格点は取れる。しかし、大学以降今に至るまで私が読んできたのは、ほとんど仏教漢文に限られる。『法華経』にしろ『臨済録』にしろいわゆる古典とは違うわけで、高校生に漢文を指導するのはちょっと躊躇われる。