本の覚書

本と語学のはなし

『船口のゼロから読み解く最強の現代文』


●船口明『船口のゼロから読み解く最強の現代文』(Gakken)
 文章を読み解くには構造把握と知識が必要だが、この本では構造把握のポイントを3点に絞って徹底的にレクチャーする。その3点とは、「抽象⇔具体」の流れを押さえる、「対比」に注目する、「並列・添加」は必ずチェック、というもの。テクニックよりも本質重視の良書だ。中学生であれ高校生であれ、こういうふうに教えればいいのだろう。参考になる。
 ただ、図が多用されているのだけど、ああいうのを一々板書するのは大変そうだ。塾じゃあパワーポイントなんか使わないだろう(使うとしても資料作りがまた一苦労だが)。簡略化のテクニックが必要だ。
 本文に線を引かせる指導も大切だろう。私は受け持たれたことはないが、数色の蛍光ペンを用意させ、本文をカラフルに塗り分けさせる高校教師がいた。3色ボールペンみたいなものだったのだろう(3色ボールペンでは、「客観的に最重要(赤)」「客観的にまあまあ重要(青)」「主観的に面白い(緑)」という分け方をするので、基本的に対立を軸にして文章構造を明らかにする船口とはちょっと違うけど)。試験の時も使えるよう、鉛筆で書き込める記号をいくつか決めておくのがよさそうだ。
 あとは文章読解の基本的な作法の先をどう教えるか。これはなかなかの難題だ。