本の覚書

本と語学のはなし

Confessions


 ロエーブ叢書でギリシア語やラテン語を読む効用の一つに、古めかしい英語に触れることがある。引用はアウグスティヌスの『告白』から。

non ergo iudicio contendo tecum, quia, si iniquitates observaveris, domine, domine, quis sustinebit ? (1-5)

I will not therefore plead with thee : for if thou, Lord, shouldest be extreme to mark what is done amiss, O Lord, O Lord, who may abide it?


 直前では、別の単語の訳に iniquity を当てていながら、語源となる単語が出現したときにはそれを用いず〈what is done amiss〉と処理しているところも心憎い。古めかしさは、何も人称代名詞や助動詞の語尾変化だけが演出しているのではないのだ。


 ドイツ語は早くもマルクスからヘッセに変えた。メインの言語ではないので(ドイツ文学出身のくせに恥ずかしい話だが)、気軽に取り組めることを重視した。