本の覚書

本と語学のはなし

Revenge of the Lawn


 リチャード・ブローティガン『芝生の復讐』から「カリフォルニアは招く」の原文と藤本和子訳。

 It’s strange that California likes to get her people from every place else and leave what we knew behind and here to California we are gathered as if energy itself, the shadow of that metal-eating flower, had summoned us away from other lives and now to do the California until the very end like the Taj Mahal in the shape of a parking meter. (The Gathering of a Californian, p.16)

 カリフォルニアはよその土地から人々を集めたがり、昔のことを忘れさせる。不思議なことだ。まるでエネルギーそのものに、あるいはあの金属を食べる花の影に、それまでの生活を棄てて出てこいと命令されたかのように、わたしたちはこうしてカリフォルニアに集まっては、やってきたタージマハールでさえパーキング・メーターの形に変わってしまうような終局を迎えるまで、カリフォルニア人として暮らすのだ。(「カリフォルニアは招く」37頁)


 英語に難しいところはないと以前書いたのは撤回する。非常に短い作品が多いので、時々散文を逸脱したような文体が現れるのだ。
 引用した部分も、分からなくはないけど訳すとなると勇気のいる文章だ。どうしたって翻訳者の色が出てしまうだろう。