●浅井えり子『新版 ゆっくり走れば速くなる』(ランナーズ)
まさに佐々木功の弟子である。佐々木のオリジナルは昭和59年に書かれた古い本で、そのまま命脈を保つことは難しい。しかし、佐々木の功績を埋没させるのは惜しい。エッセンスを抜き出し、新たな息吹を吹き込みたい。そういう動機から作られた本なのだろう。
佐々木の本とそっくりな文章や表現がたくさん出てくる。「見の師に斉しきは師の半徳を減ず」という禅の言葉があって、師を乗り越えなければ師を汚すことになるという。浅井が佐々木の本に学んだのは確かだろう。だがむしろ、実際の指導の中で佐々木が何度も言葉として発し、浅井自身の血肉ともなったからこそ、似ることを恐れずに書くことができたのではないだろうか。
- 作者:浅井 えり子
- 発売日: 2005/10/01
- メディア: 単行本