『月と六ペンス』の行方訳。
□It was the first natural sleep he had had for a week.
■睡眠薬なしで寝ついたのは一週間ぶりだった。
ふむふむ。
話は変わる。
昨日『感情教育』を読んでいたら、「三十ばかりの色つやの褪せた細長い婦人」が「アルヌーとなれなれしく話して、男の指先を扇でぱたぱたたたいている」という文章を見つけた。原文がどうなっているのか分からないが、してみると、扇というのは西洋において、あおぐだけでなくて叩くための小道具としても使われていたのかもしれない。
『ベラミ』の中で娼婦が自分の「腕をぽんと扇子でたた」いたのもごく自然な動作だったのだろうか。8月19日の日記で誤訳を疑ったのは、軽率であったかもしれない?