本の覚書

本と語学のはなし

耳栓


☆『ボキャビル』『100のフレーズ』『英文の読み方』
☆「イングリッシュ・プラス」
☆「ニューズウィーク」「ル・モンド」「ヴェリタス」
☆『月と六ペンス』
☆『翻訳夜話』


 英文解釈はあと3冊だけにしておく。伊藤和夫『英文解釈教室』(研究社)、朱牟田夏雄『英文をいかに読むか』(文建書房)、行方昭夫『英語のセンスを磨く』(岩波書店)。
 当初の予定では、来年の3月まで午前中の1時間を使い、英文解釈、翻訳技術の参考書を読み漁るはずだったが、この1か月、薬袋と行方の本を読んでみて、解釈について基本はしっかりできていると感じた。誤読しないとは言えないが、もはや文法や語法というより、文のつながり具合を取り違えていたり、行間が読めていなかったりという誤りが大半なので、延々と解釈本を読む意味はあまりない。実地に訓練する方がよい。
 翻訳技術の本は月に1冊ずつくらい、通常の読書枠の中で読んでいく。どんなことが書いてあるか大概想像できるようになったので、焦る必要はない。余裕があったら、鷲見洋一『翻訳仏文法』上・下(ちくま学芸文庫)にも目を通しておきたい。ひょっとしたら英和翻訳の本より勉強になるかもしれない。


 雨の中図書館へ。風はなくても、強い雨が降ったら歩いてはいけない。随分濡れてしまった。傘立てのところでは、近くの中学校の女子生徒が、安物のビニール傘を物色しているようだった。以前神隠しにあった私の傘も、どこかの良家の玄関先に引き取られているのかもしれない。
 斜め向かいの人の鼻息と、隣の人のげっぷと、睡魔のために、「ル・モンド」はほとんど読めない。絶えずげっぷするというのは、意図的に空気を飲み込んでいるに違いない。本人にとっては心地よい音なのだろう。その音色を自分一人で独占して楽しむのは、あまりにけち臭い料簡だと思い立ったのだろうか。調べたらアマゾンでも耳栓を売っている。欲しい本もあったので、さっそく一緒に注文した。


 大学の英語の授業で、後期から使用するテキストは学生の希望に応えるといった先生がいた。ただし条件が二つある。一つは、翻訳ものではないこと。例えばドストエフスキーの英訳は不可。一つは、イギリス英語であること。米語は絶対に不可。
 私はもともと英語嫌いだから、イギリスにしろアメリカにしろ、どちらが好きということはないのだが、近頃になって、イギリス英語って、米語よりフランス語よりドイツ語より、私好みなのではないかと思うようになってきた。