本の覚書

本と語学のはなし

『事典 哲学の木』


永井均中島義道ほか『事典 哲学の木』(講談社
 遅まきながら購入すべきか否か検討するために、図書館で借りる。
 事典ではあるけれども、項目は少なく、解説は長い。というのも、単なる説明に終わることなく、見出し語を使って実際に哲学して見せることを目指しているからなのだ。普通の哲学事典は哲学のかなり読める人が用語の由来を調べるために存在するのであって、哲学用語の意味は本来哲学の現場でしか理解することができないものなのだ、と永井均は言う。
 ちょっと前なら躊躇せずに買っただろう。値段は高いが、新書10冊分として比較すれば、内容豊富なこの事典の方が得であると思う。しかし、あまり使いそうにもないのだ。『岩波哲学・思想事典』(岩波書店)、『現代思想を読む事典』(講談社現代新書)、『カント事典』(弘文堂)、『現象学事典』(弘文堂)などは普段手の届くところにおいているけれど、滅多に引くことがない。『哲学の木』はなおさらだろう。


 と書きながら、ぱらぱらめくって読み始めると、いや結構面白い。調べものをするために引くというよりは、時々拾い読みをするための事典なのだろう。
 所有すべきではないか。