本の覚書

本と語学のはなし

カトリックの終末論/里脇浅次郎

 目次を追っていくと、死、私審判、楽園、煉獄、地獄、主の再臨、死者の復活、公審判、世界の終局と一新となっている。神学というのは聖書を絶対の根拠とする、信者にしか意味をなさない奇妙な学問なのだけど、聖書をカトリックの解釈で読み解くと、だいたいこの順に死後の世界は展開していくようなのだ。
 人は死ぬ(生きたまま世の終わりを迎える人もいることになるが)。死後の魂はキリストの私審判によって、楽園(天国)と地獄に振り分けられる。カトリックはその中間的な場として煉獄というものも想定している。十分な聖性を持たない魂は、煉獄の火によって清められる必要があるという。煉獄の存在があるから、死者のために代祷(とりなしの祈り)をする根拠も生まれてくる。
 この世の終わりの時、主が再臨し、死者は善人も悪人も地上で持っていた体を纏って復活する。神とキリストの法廷において公審判(最後の審判)が行われ、人は変容し、世界も消滅することなく一新する。

 私は洗礼を受けた時ですらイエスの復活に何の関心もなかった。終末論はキリスト教の中でも最も苦手な分野だ。