本の覚書

本と語学のはなし

【モンテーニュ】冷静に議論しようとする人は【エセー1.45】

 モンテーニュ『エセー』第1巻第45章「ドルーの戦いについて」を読了する。
 ドルーの戦いとは、第1次宗教戦争のときに、パリ西方80キロの町ドルーで行われたカトリックプロテスタントとの戦闘のこと。
 カトリック側では、モンモランシー元帥が窮地に陥る中、ギーズ公はこれを救援せず、敵を背後から攻めるチャンスが来るのを待った。これを非難する人たちもあったが、モンテーニュは大局的に見て間違ったことではないと考えるのである。
 ちなみに、ギーズ一族とモンモランシーの不仲は有名であったというし、モンテーニュカトリック右派のギーズに思想的な親和性を感じていたなどということはない。


mais outre ce que l'issuë en tesmoigna, qui en debattra sans passion me confessera aisément, à mon advis, que le but et la visée, non seulement d'un capitaine, mais de chaque soldat, doit regarder la victoire en gros, et que nulles occurrences particulieres, quelque interest qu'il y ayt, ne le doivent divertir de ce point là. (p.274)

だが、勝利という結果によって示されたことは別としても、あの戦闘のことを冷静に議論しようとする人は、「大将のみならず、各兵士の目標と狙いは、全体の勝利をめざすべきであって、いくら利害があろうとも、個別の状況ゆえに、この目標を逸脱してはならない」と、わたしに告白すると思うのだ。(p.241)

 モンテーニュは自説を補強すべく、同じく最初の内は味方が負けるに任せ、機を見て反撃に転じたフィロポイメンの例を挙げる。
 また、運命に好機を恵まれながら、武勇の誉れのために、あえて敵を背後から襲うことをせず失敗したアゲシラオスの例も挙げてみせる。
 なお、この2つの物語は、プルタルコスの『対比列伝』から借りてきたものである。


 気になりつつも、迷っていた求人があった。昨日の午後、ハローワークに行こうと思って今一度確認してみたら、午前にはまだ有効であった求人が、無効になっていた。あまり残念にも思わないということは、これでよかったのかもしれない。
 その職場に行くには車が必要だったが、これで車の購入もいったん見送ることにした。また徒歩でも通える範囲で探すことにする。