本の覚書

本と語学のはなし

【フランス語】巣穴の入口できちんと足跡を消す【エセー1.39/38】

 モンテーニュ『エセー』第1巻第39章(第38章)「孤独について」を読了する。
 隠遁のすすめである。キケロや小プリニウスのごとく、後世に名を残す事業のために余暇を必要としたのとは一線を画す。セネカエピクロスのように、ただ自分の内に引きこもりなさいと説くのである。


Il faut faire comme les animaux qui effacent la trace, à la porte de leur taniere. Ce n'est plus ce qu'il vous faut chercher, que le monde parle de vous, mais comme il faut que vous parliez à vous mesmes. (p.247)

動物のように行動しなくてはいけない――彼らは巣穴の入口で、きちんと足跡を消すではないか。世間がきみをどう話題にするかは、もはや求めるべきことではないんだよ。きみが、きみ自身に向かっていかに語りかけるかを求めなくてはいけない。(p.151)

 この章の最後のあたりは、セネカエピクロスの言説をまとめて、モンテーニュが作文をしたものである。抜き書きした部分は、セネカの『倫理書簡集』7.11に拠っているらしい。
 モンテーニュキケロをしばしば引用する割に、キケロのことがあまり好きではない。名利に憑かれた人間であると断罪するのである。その因縁は次の章「キケロに関する考察」にまで持ち越される。


 そろそろル・モンド・ディプロマティクの定期購読が更新される時期ですよ、というメールが届いた。最近はけっこう量を読めるようになっているし、無駄な投資ではないだろうと、そのまま継続するつもりでいたのだが、金額を見てびっくりした。
 昨年は11,200円(1冊あたり935円)だった。今年は17,160円(1冊あたり1,430円)である。5割以上の値上がりである(昨年比約153%)。ここは一旦停止しておこうと決断した。
 やることを減らさなくてはいけないと考えていたところだから、経済的に強いられたものだとはいえ、結果的には悪くない判断だったのかもしれない。