本の覚書

本と語学のはなし

Newton 2024年1月号【宇宙のパズル】

 第1特集はクイズに答えながら宇宙に親しもうというもの。
 たとえば、地球の半径の半分まで穴を掘り、そこで体重を量ると、地上より軽くなるか重くなるか?
 万有引力は引き合う2つの物体の距離の2乗に反比例する。距離が半分になれば、重力は4倍になる。と、私は考えたのだが、間違っていた。
 直径が半分の小さな地球の上に立っている場合を考えてみなければならない。単純計算で、地球の質量は約8分の1になる。万有引力は物質の質量に比例もするから、距離が縮まった分と掛け合わせて、体重は約半分になるというのだ。
 穴を掘っただけだから、地球の質量はほとんど変わらないではないかと思いたくなるが、自分より上にある部分は上に引こうとするので、力は相殺される。すなわち計算から外して差し支えないということだ。


 無重力の宇宙船内で紙飛行機を飛ばしたらどうなるか?
 重力がなければ慣性の法則により等速直線運動を続けるだろう。と、私は考えたのだが、間違っていた。
 真空の中でならそうなる。だが、宇宙船内には空気がある。揚力がはたらくのである。重力がなくて、揚力のみはたらくから、紙飛行機は上昇しつつ、円を描いて宙返りする。空気の抵抗によって徐々にスピードは落ちるが、描く円の半径は変わらない。
 ちなみに、火星のように大気が薄いところでは、揚力も小さくなる。火星で飛行機やドローンを飛ばすのは、なかなか大変なことらしい。
 高校物理で扱うのは、基本的には手で計算できるような範囲に捨象された理想的な世界である。宙を飛ぶのはせいぜい球体であり、空気抵抗や気流などを考慮することはない。揚力など考えもしなかった。