本の覚書

本と語学のはなし

タイタス・アンドロニカス/ウィリアム・シェイクスピア

 実に残酷な復讐劇である。
 両手と舌を切り落として強姦の発覚を防ごうとした兄弟に対しては、彼らの血と砕いた骨とでパイを作り、生首を入れて、貪婪獰猛な母親に喰らわせる。復讐する側もされる側も凄まじい。
 昔は人気のあった演目らしいが、段々と時代の嗜好に合わなくなったのか、上演されることも稀になった。批評史の上でも、シェイクスピアの作品とは容認されぬ時代もあったようだ。


 『タイタス・アンドロニカス』から『コリオレーナス』まで、これから悲劇を9篇読む。もちろんその中には4大悲劇も含まれる。