- 作者:シェイクスピア,ウィリアム,フレッチャー,ジョン
- 発売日: 2004/01/01
- メディア: 単行本
しかし、今では39篇ないし40篇と考えるのが当たり前になってきているそうだ。 私が読む順番の参考にしている河合祥一郎・小林章夫編『シェイクスピア・ハンドブック』(三省堂)では、ロマンス劇の『二人の貴公子』、歴史劇の『エドワード三世』と『サー・トマス・モア』を加えた40篇が紹介されている。*1
『二人の貴公子』は、シェイクスピアの後を継いで国王一座の座付き作家となったジョン・フレッチャーとの共作。
『ヘンリー八世』も彼と共作したものであり、今は失われた『カルデニオ』という作品もそうだったと伝えられている。
これまで『二人の貴公子』にシェイクスピアの関与が疑われてきたのは、当時シェイクスピアの名を冠した疑わしき作品が多く出回っていたこと、17世紀に出版されたどのシェイクスピア全集にも収録されなかったこと、フレッチャーの全集に入れられたときにはシェイクスピアの名前が削られていたことなどが挙げられる。
しかし、今ではどこをどちらが担当して執筆したかまで、おおよその見当がつくほど研究は進んでいるらしい。
数が多いとは言えないが、注釈が付いているのはありがたい。小田島雄志訳にはまったくないのだ。
テーセウスのような伝説上の人物が登場するので、ギリシア神話に関するものが多い。手書きの系譜図は河合祥一郎の直筆であるそうだ。
二三韻律について書いてくれているのは貴重である。いずれきちんと学ばなくてはならないが、韻律が複数のセリフに跨がって完成する場合や、途中で切れる場合(そこには余韻を与えるポーズが生じる)など、ちょっとした予習になった。