ホームズ物語にはある程度パターンがあるが、この4編も既に読んだことのあるタイプに属するものであった。
「ぶな屋敷」と「株式仲買人」は法外な条件で雇われて、奇妙で意味の分からない仕事をさせられるというもの。例えば「赤毛組合」がそうであった。
「ボスコム谷の謎」はアメリカやインドなどで過去に恨みを買ったか、弱みを握られたことが事件の背景にあるタイプ。長編は『バスカヴィル』を除いてこれに属する。短編では「入院患者」など。
「海軍条約」は機密文書の盗難を扱っていて、「第二のしみ」と似ている。
訂正
- 作者:ジャック トレイシー
- 発売日: 2002/12/01
- メディア: 単行本
『シャーロック・ホームズ大百科事典』のダートムアの項を見ると「⇨デヴォンシャの地図」と指示されている。ところが、デヴォンシャの項の辺りに地図は見当たらない。ジャック・トレイシーの原著ではあったものが、何かの手違いで翻訳では抜け落ちてしまったのだろうか。
と前回書いた。確かにデヴォンシャの項の辺りに地図はないのだが、コーンワルの項に「コーンワル州とデヴォンシャ州の地図」というものが載せられていた。
イングランド西南部に位置する地域で、同書のイングランドの地図には収まりきれず、両州をあわせて別に掲載したもののようだ。
同じような例は他にもある。サリー州やケント州西部の地図を見たければ、サセックスの項にある。
「海軍条約」の舞台の半分はサリー州ウォーキングにあるのだが、ウォウキング(事典は河出書房新社版の表記に従っている)の項を見ても、見返しの地図が指示されているだけで、サセックスを見よとは言われていない。しかも、見返しの地図にはサリー州の北辺がわずかに載っているだけで、ウォーキングの場所は記されていないのである。
使い込みながら慣れていくしかない。