本の覚書

本と語学のはなし

シャーロック・ホームズ全集 第11巻 ボスコム谷の謎/コナン・ドイル

 『冒険』から「ぶな屋敷」と「ボスコム谷の謎」、『思い出』から「株式仲買人」と「海軍条約」を収める。
 ホームズ物語にはある程度パターンがあるが、この4編も既に読んだことのあるタイプに属するものであった。
 「ぶな屋敷」と「株式仲買人」は法外な条件で雇われて、奇妙で意味の分からない仕事をさせられるというもの。例えば「赤毛組合」がそうであった。
 「ボスコム谷の謎」はアメリカやインドなどで過去に恨みを買ったか、弱みを握られたことが事件の背景にあるタイプ。長編は『バスカヴィル』を除いてこれに属する。短編では「入院患者」など。
 「海軍条約」は機密文書の盗難を扱っていて、「第二のしみ」と似ている。

訂正

シャーロック・ホームズ大百科事典

シャーロック・ホームズ大百科事典

 『シャーロック・ホームズ大百科事典』のダートムアの項を見ると「⇨デヴォンシャの地図」と指示されている。ところが、デヴォンシャの項の辺りに地図は見当たらない。ジャック・トレイシーの原著ではあったものが、何かの手違いで翻訳では抜け落ちてしまったのだろうか。

 と前回書いた。確かにデヴォンシャの項の辺りに地図はないのだが、コーンワルの項に「コーンワル州とデヴォンシャ州の地図」というものが載せられていた。
 イングランド西南部に位置する地域で、同書のイングランドの地図には収まりきれず、両州をあわせて別に掲載したもののようだ。


 同じような例は他にもある。サリー州やケント州西部の地図を見たければ、サセックスの項にある。
 「海軍条約」の舞台の半分はサリー州ウォーキングにあるのだが、ウォウキング(事典は河出書房新社版の表記に従っている)の項を見ても、見返しの地図が指示されているだけで、サセックスを見よとは言われていない。しかも、見返しの地図にはサリー州の北辺がわずかに載っているだけで、ウォーキングの場所は記されていないのである。
 使い込みながら慣れていくしかない。