本の覚書

本と語学のはなし

農薬に頼らない病虫害対策/野菜だより編集部編集、木嶋利男監修

 有機農法は自然に優しいのだから、生き物に対しても慈悲深いのだろうと考えるのは大間違いだ。
 農薬や化学肥料を使う農業の基本的な考え方は、野菜以外の生き物をなるべく畑の中に入れないということであり、これに対して有機農法は生物相の多様性を実現することで害虫と益虫のバランスを保ったり、植物の植え方によって害虫を忌避したりすることを理想とする。
 しかし、これはあくまで理想であり、そこまで畑を育てるには時間と経験が必要である。したがって、害虫を見つけたときの第一原則は、有機農法においても相変わらず「捕殺せよ」なのである。
 正確に言うと、「捕殺せよ。ただし、蝶や蛾の幼虫は、半殺しにせよ」である。これは、幼虫には温情をかけて、命だけは助けてあげようという意味ではない。葉の上でアオムシの類いを半分潰して放置することで、昆虫寄生菌に寄生させ、これを増殖させることが狙いである。この菌は生きた虫を好んで食べる。畑に菌が広がれば、我々は手を汚すことなくアオムシを葬ることが出来るようになる、という算段なのである。
 というわけで、いろいろとグロい話や写真も多いけれど、野菜をつくるには一度は通らなければならない道を知るための本である。


 補足しておくと、自然農薬のことはほとんど書かれていない。たとえば、うどん粉病が発症したらどうするべきかと言えば、もう手遅れだからこれ以上胞子を飛ばさせないようにしましょうと言うだけである。
 同じシリーズに『病害虫に効く自然農薬』というのがあるから、興味がある人はそれを見るといいかもしれない。恐らく予防的な意味しかないとは思うが。


【私の菜園の記録】
 もう一つのキュウリも一番果を収穫した。


 近所の婆さんから母が貰ってきたゴーヤー、トウガラシ、モロヘイヤの苗を植え付ける。
 婆さん、自分で種取りから育苗までしており、出来た苗は野菜づくりをしている知り合いに配って回っているらしい。しかし、量の加減を知らないものだから、トウガラシの苗など10本以上もある。
 一応全部植えてみたものの(全てを畝に植えたわけではない)、全部順調に育ったら、超密植で不健康な畑になってしまう。